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行雲流水
2015年6月16日(火)8:55

「はだかの王さま」(行雲流水)

 デンマークの童話作家アンデルセンに『はだかの王さま』という作品がある

▼昔、ある国の城に王さまが住んでいた。王さまはきれいな服が大好きで、望むことは、新しい服をきて皆からほめられることだった

▼ある日、詐欺師が街にやってきて、「自分は布織り職人で世界で一番美しい布が織れる。ただ、自分にふさわしくない仕事をしている人とバカには見えない服だ」と言う。王さまは早速注文し、早く見たいのだが、もし布が見えなければ、バカということになるので、部下の大臣を見に向かわせる

▼当然、大臣には布は見えないのだが、「大変けっこうなものです」と報告する。役人たちも「これは美しい」と、口をそろえる。そのような状況をいいことに、詐欺師は高額の材料費を請求する

▼ひとりが「この立派な服をパレードの時におめしになったらどうですか」と提案、その通りにする。ところが群集の中で見ていた一人の子どもが王さまに向かって「王さまははだかだよ」と言う。子どもの言った言葉がひそひそと周囲に伝わっていき、ついには、みんなが「王さまは裸だぞー」と叫ぶ。王さまは困るが、今さらパレードをやめるわけにもいかず、今まで以上にもったいぶって歩き続けたとさ

▼この童話を現代の世相に照らして読むのもおもしろい。都合によっては黒を白という御用学者。自己保身にきゅうきゅうとする取り巻き。詐欺師も見え隠れする。何よりも、主権者である国民の、真実を正しく見る能力と態度の重要性を、教えられる。

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