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行雲流水
2015年6月23日(火)8:55

「慰霊のこころ」(行雲流水)

 とある薬局に、子どもの幸せと平和をテーマに優しさに満ちた画風で知られるいわさきちひろが描いた、美しく、かわいらしい生命感あふれる子どもの絵が掲げられていて、なんらかのストレスを抱えた来客の心を和ませている

▼黒柳徹子は、ちひろの絵の前では、みんなが懐かしく、温かく、親しみを覚えると言い、自らの著書『窓ぎわのトットちゃん』にちひろの絵を多数掲載しているが、二人の思い描く世界が響き合っていると評判になった

▼子どもの幸せを願う心と平和を阻害するものを糾弾する心の根はひとつである

▼ある時、ちひろはラジオから流れる『サトウキビ畑』を聴き、衝撃を受ける。戦争の犠牲を強いられた沖縄、そして、その沖縄の米軍基地から日々爆撃機がベトナムに飛んで行って爆弾を落としている現実。ちひろはベトナムの子どもたちに思いを馳(は)せ、病床の中で最後に『戦火のなかの子どもたち』を書いた

▼戦争が終わった後、米軍は国際法に反して銃剣とブルドーザーで県民の土地を取り上げ軍事基地をつくった。それに対して、沖縄の反基地闘争は、非暴力を貫き、人道、道徳、宗教の精神と態度で折衝、道理を通して訴えたのだが。平和の構築は、戦争の残した負の遺産を清算することからはじめるべきである

▼きょうは「慰霊の日」。戦没者の霊を慰めるとともに、平和への決意を新たにする日である。戦争で無念の死を遂げた人々と、その意志を継ぐ県民の思いに沿う思想と行動を、国の内外のすべての人に求めたい。

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