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行雲流水
2015年9月3日(木)9:01

「難民」(行雲流水)

 北アフリカや中東からの難民流出が止まらない。その受け入れをめぐって、EU諸国はもめている。人道的立場と受け入れに伴う国内問題―財政や社会不安など―の板ばさみで悩んでいる

▼難民にもいろいろある。政治的難民(亡命)、戦争難民、経済難民などだ。世界人権宣言(1948年)は「何人も迫害からの保護を他国に求め、かつ享有する権利を有する」としているが、難民受け入れ姿勢は各国まちまちだ

▼わが国では、昭和56年に「難民条約」を批准したが、受け入れ実績は芳しくない。その代わり、国連難民高等弁務官事務所への救援活動拠出金(毎年100億円前後)は、米国に次ぐ第2位だ

▼世界の難民数は2300万人ともいわれる。先進国といえども、経済が破綻すれば流浪の民が発生しかねない。現に、ギリシャは困難に直面しつつある。南北朝鮮統一後の韓国は、北の経済復興が重荷になるであろう

▼中国の先富政策(可能な者から先に裕福になれ)は西側でいうトリクルダウン理論の実践だが、経験不足は否めない。今は、一党独裁により秩序が保たれており、難民流出の心配はない。だが体制維持のためには、対外政策は強硬になりがちだ。逆にタガがゆるめば、百万人単位で難民が流出する可能性がある。そのとき、日本社会の秩序は保てるかどうか

▼たとえば宮古島に1万人の難民がきて、時給200円で働き出したらどうなるか。一国だけの繁栄・安定は維持できない。難民対策の原点は、周辺諸国の経済社会の安定化促進にある。

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