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2015年9月8日(火) 9:01

【行雲流水】「黒田三郎の詩」

 ある日、恋人は左に座ったが、世の掟が彼女を連れ去ってしまう。彼は、一晩のうちに一生が過ぎ去ったと感じるのだが、その夜以来、左の席は空いたままである。彼は昼も夜も同じ言葉を繰り返している。「お座り」、「そこにひとつの席がある」と。このような状況を黒田三郎は一編の詩「そこにひとつの席が」に書いている


▼この詩が収められている詩集『ひとりの女に』は恋愛詩集の金字塔で、この詩集を超える詩集はまだ世に出ていないとも評されている


▼黒田三郎は、ジャワの戦線に立たされた経験をもち、「死の中にいると僕らは単に〈数〉として、消耗品でしかなかった」と書いている。戦後は「荒地」グループに属し、庶民的な生活実感に密着した詩を書いた。そのヒューマンな語り口とアイロニカルな批評性によって、読者の間に幅広い共感の輪を広げた


▼彼は市民として詩人を生きる姿勢を貫いた。昭和48年に立ち上げた「小選挙区制に反対する詩人の会」でも活発な活動をしている。死票が累々と積み重ねられて、主権者の意思が十分に反映されない小選挙区制が、今日の政治の劣化を招いた元凶のひとつであることを思うと、彼の先見性が光る


▼『紙風船』と題する美しい詩がある。「落ちてきたら/今度はもっと高く/もっともっと高く/何度でも打ちあげよう/美しい/願いごとのように」。この詩には恋の不安と持続を願う気持ちがこめられていると言われる


▼もっと普遍的に、平和や正義、幸せを求めるすべての人々を励ましているようにも思える。

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