03/29
2024
Fri
旧暦:2月19日 友引 辛 
行雲流水
2015年10月27日(火)9:01

【行雲流水】「大村智氏のノーベル賞」

 相いれない「正義」たちの間で紛争は絶えず、難民に追いやられる人々が哀れである。また、広く格差と貧困層の拡大に世界は悩んでいる。そうした中で、大村智氏のノーベル医学生理学賞受賞の快挙は、その受賞理由の内容によって、世界中に大きな感動を与えた。この件について、改めて若干調べてみた

▼大村氏が発見した微生物のつくり出す有機物質を基に米国のメルク社と共同開発された寄生虫症の特効薬イベルメクチンは、罹患者の2割が失明するといわれるオンコセルカ症(河川盲目症)から年間2億人の人々を救っている

▼ノーベル賞受賞の知らせを聞いたとき大村氏は「私は難しいことは何もしていない、微生物がやってくれた仕事を提示しただけ」とコメントした。しかし、大村氏は微生物の生産する有用な天然有機化合物の探索研究を45年以上行い、450以上の新物質を発見、それらにより感染症などの予防、撲滅、創薬、生命現象の解明に貢献している

▼イベルメクチンは当初家畜の抗寄生虫薬として販売され、毎年動物薬の売り上げ世界一をキープし続けてきた。抗オンコセルカ症薬と合わせてこれまでに1兆8000億円を売り上げている

▼特筆されることは、本薬剤がメルク社より無償提供され、これまでに10億人に投与され、重篤な熱帯病オンコセルカ症等の予防と治療に使用され、これらの撲滅作戦が展開されていることである。無償提供した薬剤の製造原価は3750億円に達するという

▼大村智氏とメルク社に改めて敬意を捧げたい。

カテゴリー一覧

ID登録でパソコン、タブレット、スマートフォンでお手軽に!