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行雲流水
2015年12月10日(木)9:01

【行雲流水】「国際政治の謎」

 欧米諸国の治安が揺らいでいる。中東由来の難民やテロにふりまわされている。中東の争乱はおさまる気配がない。2000年来の部族対立や宗派対立に加えて石油利権がからみ、混迷の度を深めている。昔も今も国際政治はやぶの中だ

▼74年前の真珠湾の例もある。昭和16年12月8日、日本は太平洋戦争に突入した。ワシントン時間の午後1時に米国政府に通告文を手交し、その30分後に真珠湾を攻撃する手はずであった

▼だが日本大使館ではタイプ浄書に手間取り、通告文を手交した時には攻撃はすでに始まっていた。ハル国務長官は事後通告に激怒したという。しかし実は、ホワイトハウスは日本の暗号電報を解読し、事前に知っていた。が、なぜか真珠湾のキンメル司令長官には通報しなかった。そのため後年、「日本の卑劣な攻撃」は米国の「やらせ」だったとの憶測を生むことに(スティネット著「真珠湾の真実」)

▼当時ルーズベルト大統領は、欧州参戦を意図したが、議会の反対で果たせないでいた。真珠湾攻撃後の大統領演説「リメンバー、パール・ハーバー」で世論は一変、議会は対日宣戦布告・欧州参戦を承認したという経緯がある

▼人類の過去の歴史は集団の利益を追求することにあった。冷戦終結後は、集団の壁を克服する方向へと進化したはずだが、現実は先祖がえりしているようにみえる

▼身近な東シナ海や南シナ海をめぐる中国の言行も不可解だ。中華思想に根ざす尊大さがちらつく。「呉越同舟(ごえつどうしゅう)」、「備えあれば憂いなし」の言葉が思い起こされる。

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