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【特集】新年号
2016年1月1日(金)9:12

水産業発展担うパヤオ

喜翁丸、豪快に一本釣り/カツオが空中で舞う


釣り上げたカツオやマグロが空中で舞っていた=2015年7月、伊良部島北方の沖合

釣り上げたカツオやマグロが空中で舞っていた=2015年7月、伊良部島北方の沖合

 伝統の一本釣りカツオ漁業の継承・発展に情熱を燃やす「喜翁丸」(9・9㌧、漢那竜也船長)の乗組員たちは赤銅色(しゃくどういろ)に日焼けし、体は鍛えられてたくましい。大漁の日は、笑顔が船上に広がっていた。

 漁師たちが仕事を始める時間は早い。2015年7月、集落が静まり返る深夜、喜翁丸は佐良浜漁港を出港した。約2時間かけてカツオ漁場に到達。乗組員らは、釣り開始に素早く対応できるように態勢を整える。

 漢那船長は視界が良い船橋(ブリッジ)の上部に立ち、漁船を走らせながら双眼鏡をのぞく。海鳥が乱舞する鳥山を探しているのである。

 海鳥が激しく上下に飛翔すると、海面には小魚の魚群が移動し、その魚群を追い掛けるカツオの群れが回遊する。そんな関係を乗組員らは経験で知っていた。

 鳥山を見つけた瞬間、漁船はスピードを上げ、鳥山に近づくと減速させた。カツオを興奮させる散水装置をフル稼働させる。シャワーのように流れて海面で水音を立てるのが、カツオには小魚が飛び交っているように思われるらしい。

 乗組員らは釣り竿を手に釣り手となった。船首と左舷で陣を取り、カツオの動きを虎視眈々(こしたんたんと)と探る。

 左舷で餌を撒く係が立ち、海面に向かって生き餌をパッ、パッと撒き散らすと、カツオはその餌を求めて勢いづいて集まって来た。

 釣り手たちは直ちに釣り竿を繰り出し、釣り竿の根元部分をぎゅっと握り締める。エンジン音が響く中、張り詰めた緊張感が伝わってくる。

 カツオが擬似針に食いついた瞬間、釣り手たちは豪快に釣り上げた。空中で竿を振って擬似針から外されたカツオは甲板にドスンと鈍い音を立てて落ち、暴れ出した。立て続けに落下の音が響く。

 水面が泡立つほどにカツオが熱狂し食い盛りになると、数十分で1㌧以上の漁獲量があった。

 漢那船長は「今日はもっと水揚げが期待できる」と語り、次の鳥山に向かって漁船の速度を上げた。

 釣り手たちは、鳥山を直視しながら笑顔で釣り竿を立てていた。  

 乗組員は次の皆さん。(敬称略)

 船長・漢那竜也▽船員・池間典次、浜川秀一、長間透、友利厚、吉浜和昭、浜川輝一、池村武弘
 (乗船・伊良波彌記者)

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