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行雲流水
2016年1月5日(火)9:01

【行雲流水】「宇宙の中心」

 新年を迎えて、「宇宙の中心は?」というテーマで、各界を代表するパネラーによる討論が行われた

▼物理・天文学者は、ビッグ・バン宇宙論をもとに、宇宙には中心はないし、周辺もないと主張した。ちょうど円卓を囲んで等間隔に人が座ったとき、人は自分が中心にいると思ってもいいし、片隅にいると思ってもいいようなもので、物理的には平等である。この宇宙の一様性は「宇宙原理」と呼ばれている

▼生物・人類学者は、宇宙の中心はヒトだと主張した。宇宙は150億年をかけて、自らを認識しうる能力をヒトにおいて実現した。ヒトは宇宙の目であり脳である。宇宙は時間、空間において人をのみこんでいるが、人間は思索によって宇宙を理解し、のみこんでいる。宇宙の中心はヒトである

▼哲学・宗教家は主張した。重要なことはザイン(存在)ではなくゾルレン(当為)であり、何をなすべきかが重要である。その際、存在を意義あらしめる基本は愛であるから、宇宙の中心は「愛」である。孔子も、「仁」とは何かと問われて、それは「愛」だと答えている

▼詩人(谷川俊太郎)は詠う。「万有引力とは引き合う孤独の力である。宇宙はひずんでいる、それ故みんなはもとめ合う」。すべてを結びつける万有引力、それは愛であろう

▼愛にはいろいろある。男女の愛、家族愛、友愛、博愛、自然(宇宙)への愛、人知を超えたものへの愛。大みそかに放送されたベートーベンの「合唱幻想曲」では歌われた。「愛と力が結ばれたとき、人は神の恩寵を受ける」。

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