04/26
2024
Fri
旧暦:3月17日 先勝 己 
教育・文化
2016年3月15日(火)9:06

学校休校 揺れる思い/福嶺中

事実上最後の卒業式/「永久に不滅」願う声


新年度休校となる校舎をバックに記念写真に収まる福嶺中の生徒=13日、福嶺中学校

新年度休校となる校舎をバックに記念写真に収まる福嶺中の生徒=13日、福嶺中学校

 「われわれの誇りのふるさと福嶺が、永久に不滅であることを切に願う」。福嶺中学校で13日、事実上最後の卒業式が行われた。新年度休校を前に、生徒、学校職員、父母、地域住民の感情は静かに揺れ動いた。卒業を祝う半面、時代の流れに抗えない歯がゆさと、休校という現実を前にこみ上げてくる寂しさ。一人一人が複雑な思いを胸に、卒業生7人の背中を見送った。

 今年の卒業式も、いつものように地域の人が見守る中で行われた。「宝物」である子供たちの門出を祝いたい。小さな地域特有の光景が、そこにはあった。

 饒平名和枝校長は、そんな地域への思いを式辞に込めた。「本校教育に寄せられた理解と温かい支援に感謝します」と述べ、最後はこう結んだ。「多くの卒業生の皆さんが築き上げた歴史と伝統は、皆さんの誇りとして輝き続ける」

 教育委員会を代表して出席した宮國博教育長は「万感の思いを込めて参加させていただいた」という言葉を振り絞り、休校と向き合わざるを得ない地域住民の感情をおもんばかった。

 PTAの松川勝光会長はあふれる思いをありのままに語った。「繰り返す波のごとく永遠に。降り注ぐ太陽の光のように永遠に。われわれの誇りの古里福嶺が永久に不滅であることを節に願う」-。母校への気持ちをこの言葉に託した。

 全体合唱。歌は「旅立ちの日に」。全校生徒11人が共に歌った。少人数を感じさせない声量と安定感あるハーモニーが会場いっぱいに広がった。父母ら地域住民は、この学びやで聴く最後の合唱を胸に刻んだ。

 校門を出た卒業生の心境は複雑だった。中田右納さんは「自分なりにできることはないだろうか」と考えたという。休校のことは卒業生同士で話すことはほとんどない。「どうしても暗くなっちゃうから」というのが理由だ。「深刻な問題だけど、私一人でも考えていきたい」と話した。

 運天凱飛君は「休校は寂しいけど、仕方ないのかなあとも思う。在校生のことを考えると…」と揺れ動く気持ちを表情に浮かべた。

 式後、松川会長は「校歌を聞くとやっぱり…」と言葉を詰まらせた。「再び開校してほしいと願う気持ちはある」とつぶやきながら母校の校舎を見上げた。

 福嶺中は1949年、当時の城東中学から分離独立して開校。卒業生は計3195人。休校は初めて。


記事の全文をお読みになりたい方は、宮古毎日新聞電子版のご購読をお勧めします。
まずは2週間、無料でお試しください。

無料試読お申込み

すでに購読中の方はログイン

カテゴリー一覧

観光関係

2024年4月21日(日)8:54
8:54

「宮古横丁」がプレオープン/観光スポットに期待

ホテルアートアベニュー 平良西里にあるホテルアートアベニュー(旧ホテル共和別館)の1階に、タイ料理など7店舗が入る「宮古横丁」が19日、プレオープンした。経済団体や観光団体など関係者らが盛大に開業を祝った。

2024年4月17日(水)8:58
8:58

専用ターミナルが完成/ビジネスジェット

CIQ施設も設置/下地島空港   三菱地所は、県が推進する下地島空港および周辺用地の利活用事業の一環として「下地島空港における国際線等旅客施設整備・運営およびプライベート機受け入れ事業」の一つとして、下地島空港周辺にビジネスジェット専用施設「みやこ下…

ID登録でパソコン、タブレット、スマートフォンでお手軽に!