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2016年4月18日(月)9:05

熊本への思い、とめどなく/磯見洋一さん 

苦悩抱え、宮古路走破

あふれる涙を拭いながらインタビューに答える磯見洋一さん=17日、市陸上競技場

あふれる涙を拭いながらインタビューに答える磯見洋一さん=17日、市陸上競技場

 「ドン」-。14日夜、磯見洋一さん(30)は熊本県芦北町で突き上げるような地震に見舞われた。夜が明けて判明した被害の実態に言葉を失った。出場辞退が脳裏をよぎる。もがき苦しむ磯見さんを救ったのは仲間の言葉だった。「行ってくるんだ」。磯見さんは宮古島に渡り、走り切った。

 ゴールと同時に泣きじゃくる姿が磯見さんの苦悩を物語った。15日に宮古入りしてからずっとテレビに張り付いた。止まらない緊急地震速報、家屋倒壊、日を追うごとに増える死傷者…気が気でなかった。「宮古島で何をやっているんだ」という声なき声に襲われた。

 いつものように高ぶる気持ちはまったくない。磯見さんは、ぐちゃぐちゃの心理状態のままスタートラインに立った。「やるしかないんだ」。

 レース中も熊本が頭から離れない。余震のこと、家族のこと。でも今の自分にできることは走ることしかない。完走するんだ。ゴールにたどり着くんだ。

 一度も歩かなかった。そんなことは他ならぬ自分自身が許さなかった。「トライアスロンのつらさなんて被災した人々に比べたら何ともないんだ。あきらめるなんて絶対できない」と自分を奮い立たせた。

 完走すると、人目もはばからず泣いた。胸の内に閉じ込めていた気持ちが一気にあふれた。熊本に残してきた家族、親類、友人の無事を願う言葉がとめどなく流れ出た。「熊本の皆さんのことを思うと…」。両手で顔を覆い、おえつを漏らした。

 それでも磯見さんは、被災地に向けて強いメッセージを発信した。

 「いいことは必ずあると思います。だからあきらめずに頑張ってほしい。そして県外の皆さん、どうか熊本に力を貸してほしい」

 つらく、苦しい宮古島大会だったが、自身の目標を達成した表情には自信がみなぎる。「ぼくを後押ししてくれた仲間たちにありがとうと言いたい」。熊本から遠く離れた宮古島で、感謝の思いを振り絞った。


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