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行雲流水
2016年5月31日(火)9:01

【行雲流水】(「論語」に学ぶ)

 2500年前に生まれた孔子の言行録『論語』は今でも世界中で語りつがれ、読まれている。日本における歴史は古く、律令国家をつくる礎として官吏必読の書とされた。江戸時代の寺子屋では道徳教育の中心にこの書がおかれた。明治維新では、寺子屋の普及による江戸からの民度の高さが威力を発揮した

▼孔子が理想の道徳としたのは「仁」であった。仁とは思いやりのことである。仁とは何ですかと弟子に聞かれて、孔子は答えている。「人を愛することだ」

▼孔子の哲学は主として「無私の精神」と「共同体との調和」だといわれる。政治で最も大事なことはと問われて、孔子は、「民は信なくば立たず」と、それは「信」だと答えている

▼孔子は認識と言葉と行動が合致することを大切にした。弟子たちのみる孔子の行動には次の四つがなかった。①自分の私意で勝手にする②なんでもあらかじめ決めた通りにする③一つのことに固執する④利己的に我をはる。『論語』には「過ちを改めざる、これを過ちという」という言葉もあり、誤りのあり得ることを認める謙虚さがある。「私は幸せである。誤りがあれば教えてくれる人がいる」。言い訳や隠ぺい工作ではなく、「修正力」の重要性の指摘である

▼たとえば、「すべての公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」(憲法15条)に反することは修正を要する

▼最近、『論語』がブームを呼んでいるのは、何事も利益優先で、「仁」が影をひそめている世相に、国民が閉塞感を覚えているからだろう。(空)

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