2016年6月24日(金) 9:01

【私見公論】大野山林を復活させよう/仲地邦博

 大野山林では、4月に入るとヒヨドリやメジロなどの留鳥に加え、夏鳥のアカショウビンやサンコウチョウが飛来し、にぎやかになります。しかし、以前に比べるとかなり静かになっています。また貯水池周辺では、チョウ類とトンボ類はほとんど見えなくなってしまいました。これらは2013年の夏に山林内の3貯水池(ひょうたん池、竜の池、中島池)の底が何らかの原因で抜けてしまい、水が枯渇してしまったからです。


 ご存知の方は少ないと思いますが、アカショウビンやサンコウチョウなどを観察、写真撮影するために本土から、毎年、延べで数百人規模のバーダー(野鳥愛好家)が訪れます。彼らは口々に、こんなに簡単に、しかも多数のアカショウビンやサンコウチョウ、天然記念物のキンバトを見ることのできる場所は日本に無いと誉めてくれます。しかし、一方では「なぜ、こんなに素晴らしい場所にゴミを捨てるのか」と責めます。自分がしてもいないことへの言い訳や謝罪ほど虚しいものはありません。


 そして本土からのバーダーが、最も問題にするのも山林内の貯水池の補修をしないことです。「水場(貯水池)は生態系の要だから、放置すればそこの生態系は崩れてしまう」との意見です。全く、同感です!


 この間、私たちはこの問題を放置していたわけではありません。大野山林は宮古島市役所の管理下にあり、当然、貯水池の補修の責任もあります。そこで、宮古野鳥の会は、宮古虫の会、宮古自然クラブ、宮古青少年の家、宮古写真愛好家協会と連名で、2014年1月29日に下地敏彦市長に要請し、市長からは積極的に補修に取り組むとのご返事をいただきました。市議会でも2014年と2015年に高吉議員が、この問題を取り上げてくれました。


 しかし、水の枯渇から満4年になりますが、補修してもらったのは最も小さな竜の池だけで、効果は限定的になっています。ぜひ、残りの2カ所も補修してもらい、宮古島の水源涵養林、生物多様性を育む場所、環境教育の場、市民の憩いと趣味の場所である大野山林を取り戻したいものです。


 以下に、2014年1月29日の下地敏彦市長への要請文の要旨を載せ、読者のご理解とご協力をお願いします。


《要請文要旨》


①大野山林は宮古島の水源涵養林である

 ひょうたん池(通称)は防災(火)用として造られたのに、現在は水が貯まらなくなり、その役割を果たせない。もし山火事がおきたら消防車は遊歩道が狭いので山林内に入れないので、延焼する恐れがある。そうすると宮古島の唯一ともいえる水源涵養林の大野山林が消滅するかもしれない。至急、ひょうたん池に貯水できるよう対策を講じる必要がある。


②生物多様性を育む場所である

 大野山林内につくられた三つのため池は、それぞれが一つの生態系を形づくるだけでなく、大野山林全体の生態系の大事な要素になっている。例えば、ひょうたん池には魚やカメやカエルが住み着き、それらを狙って野鳥が飛来する。サンコウチョウやアカショウビンやオオクイナは水浴びにくる。また国の天然記念物のキンバトやカラスバトは水を飲みにやってくる。アカハラダカやサシバはひょうたん池の周囲でトンボやバッタを捕食するが、それらの光景が見えなくなってしまった。また宮古島では珍しい淡水の水辺環境になっていて、チョウやトンボが飛び交っている。特にトンボにとって産卵のための良い環境は、他に無いと言える。


③教育の場として活用できる

 三つのため池は大野山林の他の地域に比べて生物多様性が豊かである。児童生徒や一般市民向けの植物観察会、昆虫観察会、野鳥観察会などが催されてきた。しかしため池に水が無くなれば、観察会はできなくなり、良い環境教育の場が無くなる。


④市民の憩いと趣味の場所である

 大野山林を散策やウオーキングに利用する市民はとても多い。周りの木々や生き物を見ながらの散策やウオーキングは心安らぐものである。しかし水が無くなり底が剥(む)きだしになり、生き物が少なくなったひょうたん池を見て心を痛めている市民が多くなった。また木や花や昆虫の写真撮影を楽しむ人も、悲しんでいる。(宮古野鳥の会会長)

  • 宮古島の人口

    令和元年5月1日現在

    宮古島市 54,579 人
    27,494 人
    27,085 人
    世帯数 27,537 軒
    多良間村 1,145 人
    615 人
    530 人
    世帯数 522 軒
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