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行雲流水
2016年7月19日(火)9:01

【行雲流水】「星めぐり」

 ♪、「赤い目のさそり/広げた鷲の翼/青い目玉の子犬/光の蛇のどくろ。オリオンは高くうたい/露と霜を落とす/アンドロメダの雲は/魚の口のかたち」。赤い目はさそり座のアンタレス、青い目玉の子犬は大犬座のシリウスである


▼この曲は宮沢賢治が作詞・作曲した『星めぐりの歌』である。幻想的で、どこか懐かしい。朝の連続ドラマ小説『あまちゃん』の挿入曲としても流れていた。賢治に限らず、人は星空の美しさに感嘆し、その運行の規則性を観察し、生活に役立ててきた

▼『てぃんさぐぬ花』にうたわれているように、北を指す「ニヌファ星」(北極星)は海の航行の目当てになった。宮古島に伝わる古謡には「夏冬かわらぬ『ニヌファ星』よ、眺めて暮らすことよ」とある

▼また、各地では、農耕の時季をスバルの位置で知った。沖縄のおもろ人はその美しさを「金の櫛」にたとえた。「ゑけ あがる ぼれぼしや、ゑけ 神がさせ櫛」

▼明け方に輝く金星は「明けの明星」で、夕方でる金星は「宵の明星」であるが、宮古では宵の明星を「ユーフォーブス」と呼んだ。夕ご飯を食べる頃に出る星という意味である。宮古の人の素朴さ、即物性が感じられて面白い

▼ところで、現代人は、光害の影響もあって、さんざめく星ぼしを愛でることが少なくなった。反面、行事としての七夕の飾りは派手になるばかりで、花火を打ち上げる所もある。七夕にデートをする彦星と織姫を天の川付近で見つけて、想像を楽しく膨らませる喜びを子どもたちには体験させたい。

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