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行雲流水
2016年9月8日(木)9:01

【行雲流水】「9月」

 きのうは、二十四節気の「白露」。黄河流域でつくられた暦によると、草花に朝露が宿る季節だという。だが南国では、まだまだ「残暑厳しい季節」というのが実感ではないだろうか。「熱き茶と冷たき茶出て白露かな」(本多遊方)


▼夏休み明けの9月は気分が改まる節目の月ではある。9月は「防災の日」の緊張感で始まった。死者10万人余を出した関東大震災の記念日でもある。古来、立春から数えて二百十日目は厄日だといわれていたという。昔の人は、こんなかたちで台風襲来の時期を予報していたのかもしれない

▼明日9月9日は「重陽(ちょうよう)の節句」。奇数の月と日が重なるめでたい日で、菊の節句ともいわれる。中国では、盃に菊の花びらを浮かべて長寿を祝ったという。桃の節句(3月3日)、端午の節句(5月5日)、七夕の節句(7月7日)に比べると、日本ではなじみがうすいのはなぜだろうか

▼「節気」は季節の変わり目で、「節句」は季節の折り目だという(講談社「日本語大辞典」)。変わり目と折り目はどう違うのだろうか。折り目には、人為的なお祭りや祈りの気分があるようにも思えるのだが

▼白露から秋分までの期間を仲秋と呼ぶとのこと。秋の盛りという意味のようだ。他方、中秋とは旧暦8月15日を特定した呼称のようだ。「中秋の名月」という表現は、俳句の世界では「季重ね」ということになるのだろうか

▼ともあれ、9月は季節感が微妙に揺れる時節だ。「秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる」(藤原敏行)。

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