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行雲流水
2016年9月17日(土)9:01

【行雲流水】(高齢者医療)

 昨年、2月14日のこの欄に高齢者医療について書いた。日本老年医学会の宣言内容に基づいての私なりの考えであった。その短文の末節に「フレイル」という言葉が出てくるが、抽象的な説明で終わってしまった。辞書では(体が)弱い、虚弱と説明されているが、医療現場ではより深く具体化する

▼2014年5月に日本老年医学会が出したステートメントは「高齢者の抱える疾患に対して安全で効果のある治療法を選ぶ指針となる検証結果はない」としたうえでフレイルに関する概念を共通認識として取り組んでいく必要性について述べたもので、学会としての老人医療への具体的な取り組みを宣言したものと思える

▼しかし、学会の宣言に先駆けて「老人のフレイル」について独自の実践と研究を重ねてきたのが県立宮古病院の本永英治副院長である。そのことを知ったとき胸の高鳴りを覚えた

▼本永氏は研究成果を退職の際にまとめて出版する心づもりであったようだが出版社からのたっての依頼で「新・臨床高齢者医学」シリーズのひとつとして「徒手筋力検査と臨床運動学」のタイトルで今年4月に初版を上梓した

▼初版の「推薦のことば」として岐阜大学名誉教授でかつ兵庫医科大学客員教授の高橋優三氏はこう述べている「臓器の診察に重点を置く医学の流れを考えると著者の慧眼(けいがん)に驚かざるを得ない」と。さらに「これからの在宅医療、高齢化医療で患者の福音になることを期待したい」とも

▼高齢者は体の衰えをいかんともしがたい自然の流れで抗いようのないものだと諦めたりする。しかし医療現場では高齢者の苦痛を和らげることに努力を惜しまない。有り難いことだ。

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