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行雲流水
2016年10月6日(木)9:01

【行雲流水】(新・モンロー主義)

 日曜日のNHK深夜劇場で、トルストイの「戦争と平和」を放映している。ナポレオンに攻められたロシアの貴族社会と人間模様を描いている。そのころの「戦争」と「平和」の概念は、素朴な意味合いで使われていたようだ。つまり「平和」とは、「戦争のない状態」のことだった


▼だが現代の「平和」や「戦争」の定義は難しい。液状化している。かつては冷戦という言葉もあったが、今やイデオロギーの対立は時代遅れになった。代わって民族、宗教、資源、歴史が複雑にからんだ新しい形の覇権争いが起こっている

▼佐藤優と池上彰の対談集「新・戦争論」(文春新書)は、その実相を明らかにしている。中国、中東、米国、朝鮮などの情勢や思惑を分析し、地球は危険に満ちていると指摘。日本人の認識は「世界とズレている」と警鐘を鳴らしている

▼プーチンのクリミア併合、習近平の南シナ海進出、「イスラム国」の台頭やテロなどは相手国の立場を無視。相手国がひるみ、国際社会が沈黙するなら、そのまま権益を強化していく。相手国が必死に抵抗し、国際社会も「やり過ぎだ」という場合には譲歩する。今の国際情勢は、そんな嫌な時代だと分析している

▼日本は、嫌な世界に引きずり込まれることなく、ハリネズミのように武装して専守防衛に専念せよと言っているようにも読める

▼ナポレオンと同時代の米国大統領モンローは「他の干渉を許さず、また他に干渉せず」との原則を打ち立てた。「モンロー主義」の下で、国内の体力・体質改善に励んだ歴史もある。

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