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美ぎスマ
2017年2月25日(土)9:01

【美ぎスマ】伊良部地区で最も古い集落/伊良部地区・伊良部

村の始まりから700年余


元島から見える伊良部集落の光景

元島から見える伊良部集落の光景

 伊良部は伊良部地区では歴史の最も古い集落。同集落は野崎村(現在の久松)の人々が1310年ごろ伊良部島東側海岸の長山地域に移り住んだのが始まりとなった(伊良部村史より)。水を求め開墾に苦労した時代から700年余。先祖の努力は時代を切り開き生活や産業を発展させた。2015年1月には伊良部大橋が開通し新時代が幕を開けた。

 伊良部大橋の開通は観光産業に好影響を及ぼしている。渡口の浜食堂の経営者は「架橋前と比べて3割ぐらい増えた」と笑顔で話した。NHK連続テレビ小説「純と愛」のロケ地「ホテルサウスアイランド」の総支配人儀間信隆さんは「ホテルの利用者数は約10%増えた。ホテル2階のレストランのランチ客は20%くらい増えたが、夜は10%減った。橋が架かって宮古本島の飲食店に行く人が増えた」と話す。レストランの客のほとんどは観光客。地元の人たちは「レストランの昼食時はいつ行っても満席」と繁盛ぶりを話していた。

 橋は交通の制約を無くし生活、経済、医療などの面での不利性を大きく改善した。少々の荒天でも夜中でも宮古島へ自動車で行き来できるようになった。救急車が通り急病人や妊産婦の搬送が迅速化した。活動範囲が広がり宮古島にドライブや買い物に行く人も多い。ただ、島のスーパーの売り上げが減っているとの話が聞かれる。

 700年前の人々は、自動車に乗り米を食べる今の恵まれた時代は夢想だにしなかったに違いない。雨風をしのぐだけの小さな家(原屋)に住み粟やヤマイモ、芭蕉や苧麻を栽培し生活をしのいでいたという。久貝村には水がなく農地も狭かったので、人々は水と土地を求めて、比屋地(牧山展望台付近)に移動。さらに水を求めて伊良部元島に南下した。長山から伊良部元島まで水を求めた移動は長い道のりだった。元島では十数㍍掘れば井戸水が取れ、眼下にはアマガーの湧水が流れていた。

 長山や比屋地では長山金殿(本土の人)と、あからともがね(久米島から渡来)が鉄製の農具を普及させ農業技術も指導した。同2神は長山御嶽と比屋地御嶽にそれぞれ祭り住民が崇めている。祐真会(奥原典一理事長)は長山金殿、赤良弟金(ともがね)、伊良部を治めた伊良部大殿を「長山三親」と称し、整備した「比屋地村跡」地に顕彰碑を建て祭っている。

 伊良部集落の2017年1月現在の人口は400人(男性212人、女性188人)。2005年(12年前)の483人と比べて83人(17%)減った。

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