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私見公論
2017年6月23日(金)9:01

【私見公論】宮古の農業振興について考える①/平良正彦

サトウキビの豊作とみゃーく農業感謝祭

 宮古島は山がなく平坦な地形で農地が多く、上空の飛行機の窓から下を覗くと1枚1枚の畑が四角くきれいに整備されている情景が見える。宮古群島の総面積は県の約10%と少ないが、耕地率は52%と県の17%に比べて高いため、農地面積は県の3割を占めている。農地には、サトウキビ、葉たばこ、野菜、果樹などの作物が栽培され農業が盛んな地域である。

 宮古は耕地率が高い反面、森林率は18%と県平均の47%に比べて低く、森林面積は県の3・5%と少ない。しかし、緑地率としての観点からは、「宮古は耕地率が高い分、畑全面に作物が入り緑に覆われたら緑地率は高くなる」という。

 緑地率に最も関係する作物が宮古の耕地面積の65%に栽培されているサトウキビで、宮古は沖縄県のサトウキビ生産量の半分近くを占める。

 サトウキビが栽培される畑は、時期により緑と土色に分かれる。サトウキビは夏植、春植、株出の三つの栽培型があり、夏植が主体であった頃は栽培面積の約半分は収穫後の4月から夏植が始まる8月までは土色の裸地状態となっていた。最近は、その裸地状態が減少し緑が増えてきている。理由は夏植が減り株出が増えたためである。以前、株出栽培はアオドウガネ、ハリガネムシ等の土壌害虫がサトウキビの地下芽子を食害するため栽培が困難で面積は少ない時でわずか2%程度しかなかった。しかし、誘殺灯や農薬等の防除効果で土壌害虫が減少し、株が萌芽するようになってからは面積が急速に増えてきて平成28/29年期の株出の割合は夏植を逆転し約半数となっている。

 また、最近はサトウキビ収穫後に蕎麦(そば)や緑肥としてひまわりが栽培されるようになってきてわずかだが裸地の減少に役立っている。このことは土壌保全の面からも良いことで、おまけに、開花時期には道行く人々の目を楽しませている。

 ところで、平成28/29年期のサトウキビの生産量は、43万5千㌧と平成元年以来2番目の生産量である。豊作になった要因としては、昨年、大きな台風の襲来や干ばつがなかったことが大きく、他に農家の肥培管理努力、地下ダムの水利用、優良品種、株出管理機の普及などで反収が大幅に向上したことが挙げられる。また、先述した株出栽培が増え収穫面積が増加したことも要因の一つである。

 宮古地区のサトウキビ生産目標値は38万㌧である。農家や農業関係者は目標達成に向けて尽力していたが、ここ数年は、32万㌧台から34万㌧台の生産量であった。私を含め農業関係者の多くは、簡単にはこの38万㌧の数字は達成できないだろうと考えていた。ところが、驚くことに当期の生産量は目標を大きく超えて43万5千㌧である。サトウキビは生育条件がそろえば、持っている能力を十分に発揮し豊作をもたらしてくれている。そのため、農家は作物の栽培管理に努力し農業関係者は引き続き条件整備に尽力して作物の生育環境を良好にする必要がある。このことは、他の野菜や果樹においても同様であろう。

 平成28年度は畜産においても、子牛価格が好調で生産額は46億円と前年の39億円から大きく伸びた。宮古地区農業振興会では、サトウキビの豊作、肉用牛生産額増大を祝い、また、来期のマンゴー、野菜、葉たばこなど農作物全般の豊作を祈念して、みゃーく農業感謝祭を8月12日にJTAドームで開催する。

 祭りは、農家や農業関係者だけでなく、広く一般の方々にも参加していただき、「宮古全土で農業に感謝し、来期の豊作を願って島中で頑張ろう!」という主旨で開催される。

 祭りでは、記念式典、宮古農業の紹介、農業機械展示、露店。余興には民謡、踊り、獅子舞、クイチャーなど盛りだくさんの出し物が予定されている。

 多くの方々が宮古農業に関心を持っていただき、農家や農業関係者の皆様が将来の宮古農業の発展に向けて決意を新たにし頑張っていく一つの機会になればと思う。

 多くの皆様の参加をよろしくお願いします。

 
 平良 正彦(たいら・まさひこ)1958年生まれ。宮古島市平良出身。84年琉球大学農学部卒業。同年沖縄県農業試験場宮古支場採用、宮古農業改良普及課、農林水産部糖業農産課、園芸振興課、南部農業改良普及センターを経て、12年農林水産部糖業農産課班長、14年宮古農林水産振興センター農業改良普及課長、17年農業研究センター宮古島支所長就任。 

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