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行雲流水
2017年8月15日(火)9:01

【行雲流水】(銀太郎先生のロマン)

 「新宮古建設の歌」を作詞された仲元銀太郎氏はエッセー集『流れ、流され』に書いている。「人生とは、いつ、どこで、誰にめぐりあい、どんなロマンを生んだか、ということの積み重ねかもしれない」

▼小学6年生の時、下地恵常先生は、子どもたちを楽しい話で不思議な世界に誘い、希望を語り、仲元少年を師範学校へと導いた

▼高等1年の暮れに、転勤する金城栄治先生と切ない別れをした。先生の作詞した『えんどうの花』は「貧しい農村の中で育った少年少女たちに寄せる先生の愛情の表現であり、一羽のツバメは別れ行く先生自身であった」。師範学校では、「少年特有の感傷と理想への憧れは、淡く、高く、宮良長包メロディーで育てられた」

▼池間小学校に勤務した時の砂川恵敷校長について書いている。「怒らず、憎まず、誰をも自由にさえずらせ、泳がせて、時にさりげなく、さらりと語った」

▼大神小中学校で、仲元校長の宮良メロディーのピアノ伴奏で初任者の下地昭五郎氏はたびたび歌った。氏は書いている。「日常会話の中での蘊蓄(うんちく)ある言葉、キラリと光るエスプリの数々、先生の人間としての魅力、知性の豊かさに薫陶を受けた」

▼高度成長の中で、へき地の荒廃は進む。「山は美しく、谷川のせせらぐへき地を生活のできる場所にすることが日本の課題だ」と書いている。その思いと、「郷土史研究」、晩年の「故郷回帰」は根底でつながっていると言えよう。純粋さと高い理想、ロマンを感じさせる魅力を、先生を敬愛する方々は等しく語っている。

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