2017年9月22日(金) 9:02

【私見公論】「平良港の長期的課題と対応」/林 輝幸

 前稿の「新たな宮古島観光の展開と平良港の役割」では、平良港に寄港するクルーズ船の大型化に対応した短期的な取り組みと想定される課題についてお話しました。本稿では、宮古地域の将来展開を踏まえた中長期的な視点での平良港の役割と課題およびその対応について私見を述べさせていただきます。



 宮古島観光の中長期的な動向を考えますと、まず入域観光客が予測を大きく上回る200万人時代を迎えることや22万トン級クルーズ船の投入をはじめとするさらなる大型化が進行すること、加えて観光客のニーズが多様化することが予想されます。


 平良港においては、国際クルーズの拠点化や観光支援機能を宮古地域の物流拠点としての機能と調整を図りつつ、長期的な視点に立った平良港の利用構想を提示し、必要な港湾機能については港湾計画に位置づけ、整備する必要があります。


 具体的には、宮古島観光の海の玄関口でありコースタルリゾート計画を有する平良港の魅力あるみなとまちづくりが重要です。主な課題として、さらなる国際クルーズ船の大型化と需要の拡大に適切に対応することです。すでに、那覇港、石垣港、本部港では20万トン級のクルーズ船を受け入れのための岸壁を港湾計画に位置づけ、整備に着手しています。整備後は、世界最大クラスである20万トン級のクルーズ船が沖縄ルートに投入されることになります。当然、平良港への寄港要請も想定されることから、早急な受け入れ施設の整備が必要となります。また、需要拡大に対応した受け入れ体制の整備をハードとソフトの両面から取り組むことが重要です。


 さらに、新たに荷川取に整備される国際クルーズ拠点の旅客ターミナルとリゾート施設が整備されるトゥリバー地区に至る港湾背後の人流を確保する必要があります。約3㌔区間に点在する遺跡、緑地、交流用地、パイナガマビーチ等を活用した親水性のある賑わい空間の創出やマリンレジャー等楽しくて飽きない工夫を凝らした遊歩道(回廊)を整備するなど、相互に連携した取り組みも必要です。加えて、下地島空港の利活用や周辺のリゾート開発と連携した取り組みも考える必要があります。


 そして魅力ある平良のみなとまちづくりには、なによりも、地元の方々自身が魅力を感じ、自慢できるみなとまちとしてのコンセプトとビジョンづくりが不可欠です。求められる機能としては、観光客等にも便利な平良港と背後市街地とを結ぶ交通手段の確保、各種イベントが開催できる賑わい空間の創出、背後市街地では確保できない機能、例えばバス等のターミナルやその他観光関連機能を港頭地区や港周辺地区の再開発等で確保することも必要となります。


 9月30日に開催される国際クルーズシンポジウムでは、カーニバル社が進める東洋のカリブ構想の戦略を踏まえて「クルーズ観光による宮古島の成長可能性」と題した基調講演や有識者によるパネルディスカッションにおいて下地島空港との連携によるフライ&クルーズと平良港における国際クルーズの拠点化の可能性と課題、国際クルーズの伸展や周辺リゾート開発を起爆剤とする観光産業を成長エンジンとした宮古島観光のあり方と地方創生に結びつけるための課題や取り組みについて提案をいただけるものと期待しています。


 平良港のもうひとつの課題として、巨大地震・津波への対応についても考えなければなりません。東日本大震災では背後地を守るべき防波堤の倒壊や石油タンクの炎上などの二次災害が発生し被害を拡大させました。平良港も周囲を約4㌔の第一線の防波堤で守られています。石油タンクなどの危険物も市街地に近接して立地しています。特に、防波堤の倒壊は津波による被害を拡大させるだけではなく、その後の台風等による高波からの被害発生も高くなります。このための防災・減災対策は重要な課題です。


 平良港のみなとまちづくりには、物流や観光支援機能などの利用面と防災面の観点から調和の取れたものでなければなりません。現在策定中の平良港長期構想が宮古地域の発展につながる道標となることを期待しています。次回は最終稿として、シンポジウムの報告と平良港のみなとまちづくりへの取り組みについて提案したいと思います。(沖縄総合事務局平良港湾事務所所長)

  • 宮古島の人口

    平成31年3月1日現在

    宮古島市 54,225 人
    27,176 人
    27,049 人
    世帯数 26,929 軒
    多良間村 1,169 人
    628 人
    541 人
    世帯数 522 軒
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