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2017年10月3日(火) 9:01

【行雲流水】(文化の光、満ちる島)

 そう遠くない昔、人々は、「トウガニ・アヤグ」の旋律に乗せて、歌詞を即興、お祝いの席でも、恋愛の場でも、互いの想いを歌で交わし合った。このような豊かな文化の伝統を根底に、今や百花繚乱、多彩な文化創造が花開いている。「~創造する市民の文化~文化の光、満つる島」をテーマに第12回宮古島市民総合文化祭が開催され、多彩な作品が展示され、観衆を魅了した


▼宮古上布は、「西の越後、東の宮古」と言われるほどの優れた織物である。人頭税の頃の貢納布とされた過酷な歴史も含めて400年の伝統を持つ。それを継承している会員たちは誇らかに語り、展示作品には、透き通るような光沢があった


▼写真「家族の風景」では妊婦(母親)の大きなおなかを小さな娘が両手で触れている。一枚の写真は、生まれる子どもを祝福し続け、鑑賞者には生命の尊厳を感じさせる


▼文字(書)は伝達の手段だけでなく、優れて芸術だとみた。多様な書体のリズムが快い。作者の美意識によってさまざまな表情を見せる生け花は、その爽やかさが印象深い


▼俳句。たとえば、「晩夏光丸く繋がる空と海」で壮大な情景が目に浮かぶ。「慰霊の日喪服を抜ける風もなし」は散文による論説を超える。美術作品には抽象や超現実もあり、作者の自由な創造の世界を楽しむ


▼交流があり、いろいろな話題がでた。「一本の盆栽を40年育てている」。「イーハトーブ」(理想郷)を求めた宮沢賢治は「農民芸術論」を書いた。この文化祭を契機に、市民文化が一層発展することを期待したい。