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2017年10月10日(火) 9:01

【行雲流水】(サシバ渡る)

 節気は寒露。秋の使者サシバがやって来る


▼サシバはその精悍な姿と飛翔の美しさで人を魅了する。また、小さい身体で、風雨に耐えて旅を続ける姿が感情移入を誘う。大群が空を覆っていた子どもの頃を思い出させる。「人はみな旅せむ心鳥渡る」(石田波郷)。「鷹渡るわれ幼名で呼ばれたし」(平良雅景)


▼久貝勝盛氏は講演で、大陸沿いに北へ帰るルートがあることが人工衛星利用のGPSで分かったことなど、最近の研究の進展を説明した。また、宮古の各地に伝わる数々のサシバの歌を紹介、サシバと住民の関わりの深さを示した。氏はフィリピンでの講演で、宮古のサシバ保護活動の成果を紹介、保護活動の国際的な広がりに貢献している


▼サシバの縁で、本市と繁殖地の栃木県市貝町が交流都市となった。これで、繁殖地と最大の飛来地と越冬地を結ぶサシバを楽しみ、保護する大きな輪ができた


▼サシバはさまざまな思いを触発する。鷹柱は上昇気流を利用して高所からグライダーのように省エネ飛翔をするためのものだが、俗世の「昇華」をイメージさせる。旋回は「舞い」で、獲物に向かう直進は強固な「意志」である。今年「体内時計の研究」がノーベル医学・生理学賞を受賞するが、わがサシバは太古から体内時計を組み込んだ太陽コンパスで方向を感知している。高所から獲物が見えるのは、エネルギーが局所的に存在する光の粒子性による(ノーベル賞を受賞した「光電効果」理論)


▼サシバよ、地球の豊かさを飛べ。行く手には風雨もあるが虹もでる。