2018年1月27日(土) 8:55

【視点・焦点】政権、誤算と勝算/竹中 明洋

安倍政権にとって誤算だったのではないか。南城市と石垣市の市長選挙のことだ。首長選挙で勝利を重ね、天王山の知事選挙を制して沖縄の政治地図を塗り替えようと躍起になっていただけに頭が痛いはずだ。


今月21日に投票が行われた南城市長選では、当初、自民党が支援する古謝景春氏の当選が固いと見られていた。市長を3期務め、保守系市長でつくる「チーム沖縄」のリーダー格でもあっただけに、よもや負けることはあるまいという雰囲気が東京でもあった。


それが一変したのは、今月上旬に自民党が実施した電話調査の結果が伝わってから。オール沖縄が支援する瑞慶覧長敏氏が古謝氏に肉薄し横一線だという。自民党は古謝氏選対に再三にわたって危機感を持つよう警告したが、慢心からか緩みは最後まで続き、投票日目前になっても選対は数千票差の勝利と判断していた。


結果は僅差ながらも瑞慶覧氏の勝利。県内市長選で連敗続きのオール沖縄にとって貴重な勝利となった。


「相手側のトップリーダーに勝てたことは大変勇気づけられる」。投票日翌日に翁長雄志知事はそうコメントしたが、昨年4月のうるま市長選でオール沖縄の候補が敗れた時の「一市長選の結果にコメントはしません」との発言とは対照的で、知事の安堵感が伝わってくる。


政権のもう一つの誤算は、今月24日、自民党県議の砂川利勝氏が石垣市長選に立候補を表明したこと。現職の中山義隆氏と保守分裂の構図となり、すでに立候補を表明している革新系市議の宮良操氏に有利な状況が生まれた。


分裂選挙を避けたい自民党は、前日に砂川氏を党本部に呼び、党事務方トップの元宿仁事務総長が2時間も口説き、さらには二階俊博幹事長も会っていったんは砂川氏から立候補断念の言質を取りつけていたという。ところが、その晩に地元に戻った砂川氏を待ち構えていたのは、主戦論を唱える支持者ら。説き伏せられた砂川氏は翌日に立候補を表明したというわけだ。


誤算続きで頭を抱える安倍政権だが、なんとしても落とせないのは名護市長選。菅義偉官房長官や二階俊博幹事長らが続々と応援に入りテコ入れしてきた。


現地を取材すると、日の告示を前にすでに選挙戦に突入したのかと錯覚を覚えるほど、市内至るところに幟やポスターが掲げられ、街宣車に乗ったウグイス嬢が候補者の名前を連呼している。かつて「沖縄は選挙違反特区」と発言した県選出国会議員がいたが、やはり感心できるものではない。


ともあれ、政権が期待するのは自民党が支援する渡具知武豊氏の猛追だ。当初は各種調査で現職の稲嶺進氏に大差で引き離されていたが、ここにきて横一線に迫っているという。


大きな要因は前回は自主投票となった公明党とその支持母体の創価学会が渡具知氏の支援に回ったことだろう。官邸から創価学会への強い働きかけがあったとされる。


渡具知陣営は、辺野古移設については議論を避ける一方で、移設に反対する稲嶺市政で米軍再編交付金の交付がストップするなどして市財政が悪化、好景気の県内で名護市だけが取り残されていると批判。1998年の知事選で現職の大田昌秀氏を破った「革新不況」キャンペーンに倣ったものだというが、この批判がどれだけ浸透するか。勝敗を分けるポイントだろう。


そしてもう一つのポイントは米軍だ。このところ、選挙にあわせたかのようなタイミングで米軍による事件事故が起きており、投票行動に大きく影響している。しかも、年が明けてから3回も立て続けに米軍ヘリが不時着するという異常事態の真っ只中。米軍の動向にも要注意だ。


竹中 明洋(たけなか・あきひろ)1973年山口県生まれ。北海道大学卒業。東京大学大学院修士課程中退。ロシア・サンクトペテルブルグ大学留学、在ウズベキスタン日本大使館専門調査員、NHK記者、衆議院議員秘書、週刊文春記者などを経てフリーランスに。

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