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2018年3月20日(火) 8:54

【行雲流水】(春)

 ♪『春よ来い』。「春よ来い、早く来い/お家の前の桃の木の/つぼみもみんな膨らんで/はよ咲きたいと待っている」。そして『どこかで春が』。「1、どこかで春が生まれてる、どこかで水が流れ出す。2、どこかでひばりが鳴いている、どこかで芽のでる音がする。3、山の三月東風吹いて、どこかで春が生まれてる」


▼植物は季節の移ろいに沿って正確にその姿を変化させる。寒さのなかで満開していたヒカンザクラの花は散って、葉桜になっている。わが家のつつじは、ピンクに満開した。落葉していたサルスベリの枝に緑の新芽が一斉にふき出した


▼不思議なことに樹齢何百年とか何千年とかの老木でも、年に一度は必ず新芽を吹いて新緑に萌え立ち、匂うばかりの新樹に若返る(「老樹の青春」・荒垣秀雄著)


▼森に千年の樹木がある。一粒の種が地に落ちて芽を出して以来、大地に根を張って動かず、語らず、静かに沈黙を守っている。その間、幾世代にもわたる人の世の営みに、何を、どう、黙想するのだろうか。東洋で初のノーベル・文学賞を受賞したインドの詩人タゴールは書いている。「静かにわが心よ、これらの大きな樹木たちは祈祷(きとう)者なのだ」


▼人間は飛行機を飛ばし、高層ビルを建てるが、一枚の若葉も創ることができない。明日3月21日は「春分の日」。「自然をたたえ、生物をいつくしむ」祝日である


▼春は別れと出会いの季節でもある。別れを惜しみ、新しい出会いに希望を託す。春の日はうらら。島をおおう花々はうらら、学園の窓も、みなうらら。