2018年5月31日(木) 8:53

【行雲流水】/中学生の悩み

 漫画「君たちはどう生きるか」(マガジンハウス社刊)を読んだ。児童文学者吉野源三郎が昭和12年に書いた小説の漫画版だ。いじめあり、ひきこもりありで現代でも通用する。悩める主人公(中学生)が生きる目的にめざめていく物語だ


▼指南役の叔父は、人間の悩み、過ち、偉大さについて考える材料を提供はするが、結論を押し付けたりはしない。自分で考えることが大切だとさとす。「ぼくたちは、自分で自分を決定する力をもっている。だから誤りを犯すし、立ち直ることもできるのだ」と


▼やがて主人公は、「世の中は自分を中心に回っているのではない」「たったひとつの大きな存在が世の中を回しているのでもない」と気づく。「誰かのためにという小さな意思が、ひとつひとつつながって、ぼくたちの生きる世界は動いている」と考えるに至る▼この本を副読本として道徳の授業を進めている学級があると聞く。千葉県の中学校だったか、クラス全員にこの本を配り、1章ごとに「君たちならどうする?」と議論させているという。自主的に考える力を養う良い教材かもしれない


▼大人社会の土俵はどうか。森友・加計学園をめぐる論争や日大アメフト部の騒動をみていると、組織や権力という大きな存在が世の中を回しているように見える。政府や大学の統治機能の劣化は明らかだ


▼一方、野党の質問の仕方にも疑問が残る。「真実の追及」というより中世の〝魔女狩り〟に似ている。度が過ぎると、かえって真実が見えなくなってしまうのでは。中学生を見習いたくなる。(柳)

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