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行雲流水
2018年7月10日(火)8:54

【行雲流水】(沖縄詩歌集)

 「天に嗚響(とよ)む大主/明けもどろの花の/咲い渡り/あれよ 見れよ/清らやよ/又地天鳴響む大主」。日の出の壮観をたたえた「おもろ」である。周辺諸国と友好関係を結び、貿易で繁栄した琉球(沖縄)の人々は、平和と文化を愛した

▼しかし、沖縄には過酷な人頭税の時代があり、戦争の惨禍があった。米国の施政権下の時代があり、今なお基地の重圧がある。そうした中でも、沖縄は誇りうるアイデンティティーを守ってきた。その際、芸術等の文化の果たしてきた役割は大きい

▼そのことを、沖縄内外の作家たちの短歌や琉歌、俳句や詩によって多くの人が感受し、沖縄問題を真剣に考えることを期待して、『沖縄詩歌集』が、鈴木比佐雄、佐相憲一、座馬寛彦、鈴木光影の編集で出版された。なお、編集者による解説が、作品の理解を深めさせている

▼近代俳句協会名誉会長金子兜太の句「相思樹空に地にしみてひめゆりの声は」-相思樹はひめゆりの乙女たちが最後に歌った「相思樹の歌」(別れの曲)の相思樹。作曲は宮古出身の東風平恵位である

▼おおしろ建の「分裂・分断の世を抱きしめる満月光」-すべてを照らす満月光のように、心をひとつにしたい。久貝清次の「ひとつながりのいのち」-アニミズムの豊穣。垣花恵子「人桝田」-人頭税の頃与那国では、緊急招集し、遅れて田に入れなかったものは殺された。-「イス取りゲームは終わっていない」は鋭い。その他、現在宮古の作家たちの作品も多彩である

▼平和と文化、もろ人の幸せが主題である。(空)

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