2018年7月27日(金) 8:54

【私見公論】福祉と平和/島尻郁子

 一切れの乾いたパンがあって、平和であるのは、ごちそうと争いに満ちた家にまさる。


 平和集会・平和コンサートが各地各学校で開催されたという記事があふれる6月になると、今から25年前、市民劇場で鑑賞した映画「GAMA」の中で流れた「月桃」の歌詞が胸を打つ。


一・月桃ゆれて 花咲けば  夏のたよりは南風
  緑はもえる うりずんの ふるさとの夏


三・摩文仁の丘の 祈りの歌に
  夏の真昼は青い空 
  誓いの言葉 今もあ  らたなふるさとの夏


五・六月二十三日 待たず
  月桃の花 散りました
  長い長い煙たなびく  ふるさとの夏


 宮古島市社会福祉協議会で、地域福祉活動コーディネーターとして、高齢者サロンを担当させていただいていた頃、よくこの歌をサロンで歌い、つらかった時代、悲しかった過去を脳裏に浮かべながらも、平和であること、生かされていることに感謝し涙する高齢者の皆さんの涙を拭う手になりたいと、心から思ったものだった。


 以来、学校等で福祉講話を依頼されると、この「月桃」の歌を紹介し、多くの犠牲があって今の平和があり、平和があってこそ福祉が展開されることを伝えてきた。


 多くの御霊を慰める鎮魂歌「月桃」の歌手国吉さんとの出会いは、4年前、沖縄県社会教育委員会議に参加しての帰り、一人の委員に誘われ初めて訪れた、読谷村にある白い家フェローシップチャーチにあった。


 ゴスペル歌手としてステージに立っている国吉さんのすてきな歌声に惹かれ、ぼーっとしていた私に、彼女こそが、「月桃」の歌手だと紹介された時の感動を今でも覚えている。


 平和コンサートでは県内外で活躍し続けている彼女の歌声をぜひ宮古の子供たちにも聞かせてあげたいという願いが叶い、一昨年より市内の小・中学校3校で、彼女の平和コンサートが実現した。


 平和コンサートの中で、彼女は、戦争の無い平和な世界をつくるためには、与えられた命を大切に、共に学ぶ友達と助け合い、励まし合い、赦(ゆる)し合い、そして感謝する心、悪いことは悪いといえる強い心と優しい心を持ち続けることが大事と伝え、平和の中でこそ夢や希望が持てること等を織り込み、「対馬丸哀歌」「アメイジング・グレイス」等を語るように歌い、コンサートの最後に子供たちと心ひとつに平和への思いを込めて奏でる「月桃」は何度聞いても涙を誘う。


 福祉とはふだんのくらしのしあわせづくりと福祉教育の中で語ってきたが、平和があってこその福祉であり、平和と平安の中で生きる力が漲(みなぎ)ることを思う時、福祉の働きに導かれて今があることに感謝する日々である。


 『地域の課題に寄り添い、安心した暮らしを築き上げようとする個人や団体と相互に活用できるネットワークの構築に関する事業を行い地域に寄与する』を目的にNPO法人を立ち上げ6年目。社会福祉士の資格を活かし、これまで、高齢者福祉に係ること・学校教育に関わること・子ども若者の居場所づくり・就労支援等さまざまな事業に取り組み、多くの隣人の声に向き合い、その中で私自身が大きく成長させられたことに気づかされ、活かすことが生かされることと感謝にあふれるばかりである。 


 さらに、更生保護女性会・Rhマイナス友の会・沖縄県立看護大学の実習生受け入れボランティア・社会教育等に関わり、ネットワークが広がるにつれ、この島がこれまで以上に愛おしく、平和についてもっと熱く祈り、子供たちの未来を守りたいと思うのである。


 一切れの乾いたパンがあって、平和であるのは、ごちそうと争いに満ちた家にまさる。


 この島がごちそうと争いに満ちた島にならないようにと祈りつつ、今回はこれで…。


 島尻 郁子(しまじり・いくこ)1959年生まれ。宮古島市平良出身。小学校で臨時教諭として10年、行政に約10年、社会福祉協議会で地域福祉活動コーディネーターとして勤務。日本福祉大学通信課程で社会福祉士資格を取得。現在、沖縄県社会教育委員、宮古島市社会教育委員、NPO法人あらた理事長、NPO法人ばんず副理事長、宮古更生保護女性会事務局長。

  • 宮古島の人口

    平成31年1月1日現在

    宮古島市 54,229 人
    27,165 人
    27,064 人
    世帯数 26,857 軒
    多良間村 1,172 人
    628 人
    544 人
    世帯数 523 軒
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