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行雲流水
2018年11月20日(火)8:54

【行雲流水】(暴力の世紀)

 アメリカの歴史学者ジョン・W・ダワーは、戦後の日本の民主主義が定着する過程を『敗北を抱きしめて』に書き、米国で最も権威ある賞であるピュリツァー賞を受賞した。続いて、『アメリカ 暴力の世紀-第二次大戦以降の戦争とテロ』を書いた。なお、日本語版には、トランプ時代を危惧する日本国民のためにオリジナルの序文を添えた

▼著者はトランプについて、大統領にふさわしい知性も気質も備えていない。歴史を軽視、物事の正確さや真実を尊重することもない。そして、トランプと彼の支持者たちは、人類を脅かす地球の温暖化や核軍縮の必要性を否定する。「民主主義、規則に則った世界秩序、国際条約の重要性、人権ならびに市民権の擁護、最適な多国間協力という理想」などに対する関心がない

▼著者は、戦後アメリカが各地で直接戦争や代理戦争、政府転覆の誘導など「暴力の世紀」の実態を明らかにしたうえで、そのような行為を政府に遂行させる社会全体の「文化」の問題としてとらえている

▼アメリカの年間の軍事費は約1兆ドルで、世界の2位以下の8カ国の合計額を超える。800に近い海外軍事基地を保持している。世界で取引される武器の総額の約半分を占める

▼これらの事実は、強大な軍備が、防衛のためというより、世界戦略のためのものであることを示す。また、経済体制に組み込まれた軍産複合体による武器の売り込みは世界を不安定なものにしている

▼この本で、日米関係の問題点や、沖縄の基地問題の不条理さがよくみえる。(空)

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