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2019年3月3日(日)8:54

【ひと】森田 たもつさん(59歳)第2回宮古島文学賞一席受賞

書き続けることがテーマ


森田 たもつさん

森田 たもつさん

 「地方は武器だよ。特異性、何よりも方言が使える」。ある文学賞の審査員から言われた言葉が小説を書く原点になっている。地元・島を舞台にした小説にこだわりを持つ。「台湾エリアの中で宮古の歴史を描きたかった」。構想から5年。当初、応募規定を優に超える原稿用紙150枚だったが「行間を読んでもらい、想像力を膨らませれば」と50枚にまとめた物語で宮古島文学賞一席に輝いた。

 受賞作「みなさん先生」は、ブラジル移民の主人公が25年ぶりに宮古島へ戻り、終戦まで教師をしていた島を訪問することから始まる。

 いとこの孫に当たる少年に、戦争終了後、疎開先の台湾からの引き上げ船が遭難し教え子を亡くしたことを語る。少年は戦争の話に驚き、悲しむが、その後、主人公の遺志を継いで教師になる。引き揚げ船の遭難は事実を基にした。

 「自分の気持ちをどう伝え、相手の共感を得るか。自分の気持ちを浄化するようなことが小説にはあるような気がする」

 小説を書き始めて12年。初めて書いた作品が最終選考に残った。2作目の「オールド・マーチン」でおきなわ文学賞を射止めると、平良好児賞、琉球新報短編小説賞など相次いで受賞し脚光を浴びた。

 娘が影響され、昨年は共に応募した。「書けば誰かが読んでくれる。それは歴史の継承にもつながる。どんなに長く書き続けられるか、これが私のテーマ」

 森田たもつ(もりたたもつ、本名・森田保) 1959(昭和34)年生まれ。59歳。平良出身。宮高、奥羽大学歯学部卒。歯科医師。

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