2019年3月12日(火) 8:54

【行雲流水】(第2回宮古島文学賞)

 「島は海に囲まれた小さな宇宙。そして、無限の時空につながっている」。第2回宮古島文学賞は「島」をテーマに公募され、一席に森田たもつ氏の『みなさん先生』が選ばれ、その祝賀会が催された


▼受賞作の主人公仲村正春は、ブラジルに移民、25年ぶりに故郷宮古島に戻る。正春は終戦直後まで宮古の離島、那小島の教師をしていたが、戦争中に教え子を台湾に疎開させ、戦後の引きあげ船の遭難で教え子を亡くす


▼そのことを、小学5年生浜川純平に話す。純平は、遭難の話や、疎開中の悲惨な生活などを聞き思う。「戦争がなければ、やすこものぼるも親を離れて台湾へ疎開することはなかった。死ぬこともなかった」。正春おじいとの出会いと、その後の親交によって、そこにみる教師正春の教え子たちに対する深い愛情に感化、純平は教師への道を歩む


▼椎名誠選考委員長の発言「過去と現在を往還する人物が世代をつないでいる」。それにしても、純平と、60年前のやすこやのぼるとの会話が、サーという音や途切れがちな古ラジオを通して行われる設定は見事である


▼森田氏は、『蓬莱の彼方』で第14回平良好児賞を受賞。新沖縄文学賞、琉球新報短編小説賞を立て続けに受賞している。詩人としての感性、人間に対する温かいまなざし、確かな世界観、それに優れた構想力と筆力によるものだろう


▼森田氏の受賞をたたえ、さらなる活躍を期待したい。今回の受賞は宮古島文学賞の着実な発展に大きく寄与した。宮古島文学賞は宮古の誇りである。(空)

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