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行雲流水
2019年6月20日(木)8:54

【行雲流水】(野性と文明の間)

 雑草の生命力は強い。ムツウサ(宮古方言名。学名―ビデンス・ピローサ)は、その代表格かも。道端、原野など宮古島のいたるところに自生している

▼ムツウサの小さな細長い種子は、人間の衣服に付着して方々へ運ばれる。たんぽぽの種子は、風に乗って遠くへ飛ぶ。木の実が赤く色づくのは、小鳥の目をひき、種子を遠くへ運んでもらうためだとか。植物の世界では、生き残るための「摂理」があるようだ

▼自ら動き回る動物の世界はどうか。海中では大が小を捕食する食物連鎖が行われている。カニにいたっては、餌がなくなると共食いを始めるという。水産試験場では、1㍍四方の水槽ごとに5匹、6匹、7匹とカニを養殖し、共食いを始める飽和限界点を探っていた

▼「感情の動物」とも「考える葦」ともいわれる人類はどうか。言葉や文字やルールを定めて「文明社会」を築いてきた、とされている。第2次世界大戦後は、国連でさまざまの「宣言」を採択して共存共栄を目指している

▼だが現実は、どうか。国益、民族、宗派、イデオロギー(主義)などをめぐり抗争が絶えない。身近なところでも児童虐待やヘイトスピーチ(憎悪表現)などがみられる。「怒りの感情」に火がつくと、冷静さが失われて、〝野性〟が顔を出したがる。手も足も、言葉さえも他者を傷つける道具と化してしまう

▼古代ギリシャの哲人アリストテレスは、両極端にかたよらない「中庸」を〝人の道〟の基本に据えた。古代ギリシャ人にくらべて、現代人の考え方はどの程度進化したのであろうか。(柳)

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