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美ぎスマ
2019年8月31日(土)8:54

【美ぎスマ】まっちゃ健在/城辺地区福西集落

「太郎商店」「益田商店」/70年地域の生活支える


「太郎商店」を切り盛りする砂川テル子さん

「太郎商店」を切り盛りする砂川テル子さん

 平良市街地に規模の大きなスーパーが次々と進出し、宮古各地の小規模小売店(方言名まっちゃ)が苦戦を強いられ閉店していった中、福西では太郎商店(愛称・たるまっちゃ)と益田商店(同・じんか)が逆風をはねのけ健在だ。両店とも戦後間もないころ店を開き、約70年地域の人々の生活を支えてきた。福西は国道390号と平良城辺線が接する場所で交通量の多い所。中心部には旧城辺町役場(移転前の役場)や城辺小学校があり人通りも多かった。数十年前は両店のほかに「つみやー」「くろしまやー」などのまっちゃや鍛冶屋、映画館、アイスケーキ屋、洋裁店、理・美容室、医院などが軒を並べ「第2のピサラ」と呼ばれていた。現在は少子高齢化や役場移転などの影響もあって、客足が減った。産業は主に農業が営まれている。7月末現在の人口は383人(男性182人、女性201人)、世帯数は176戸。

 

 砂川テル子さん(84)が切り盛りする「たるまっちゃ」は、

豊富な品数をそろえている「益田商店」

豊富な品数をそろえている「益田商店」

夫恵一さん(故人)が兵役から戻ったころに開いた。テル子さんは子供が幼いころ早朝バスに乗って、平良に仕入れに行った。「早く帰って子供の世話をしなければと、仕入れ先を駆け足で回った」と昔を懐かしんだ。当時はサバやイワシの缶詰、そうめん、うどんなどが売れ筋商品。子供たちにはあめ玉が人気だった。文房具も扱っていた。テル子さんは城辺小を卒業した子供たちの顔をほとんど覚えているという。

 店の入り口近くには弁当や多種類のおかず、木綿豆腐やゆし豆腐などの総菜が豊富に並ぶ。近所に住む79歳の女性は肉のおかずを買った。「夫婦2人では家で作るより買った方が安上がりで便利」と話した。開店(朝6時半)時には豆腐が売れる。通りすがりの建設業の人たちは弁当や飲み物を買っていく。子供たちの好きなお菓子の種類も多い。

 たるまっちゃでは、テル子さんの笑顔の接客が、固定客の多い伝統の店づくりの力になった。来店した川満トシエさん(69)は、愉快な昔話に花を咲かせた。座って話せるように椅子も置いている。

 農業の合間には長男明英さん(59)が店の仕事を手伝っている。「○○商品も置いてね」などの要望にしっかり応えているという。父からは「店は地域のためにある」と教えられていた。

 益田商店は、益田実さん(56)が創業した。昔は石油も多くの家庭に配達していた。食品や日用雑貨だけでなく金物も扱うなど豊富な品ぞろえで発展した。今も昔からの固定客は多い。

 現在は次男将幸さんが引き継いだ。「年金支給日のたびに2カ月分買いだめしたお年寄りの買い物を配達していたこともあった」「今年の旧盆にはオードブルを仕入れて配達してくれと注文があった」と、愛顧を受けていることを話した。

 両店は地域に合った商品とサービスを提供し、地域の人々に親しまれる昔ながらの「まっちゃ(太郎商店、益田商店)」ののれんを守り続けている。

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