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2019年11月2日(土) 8:54

【行雲流水】(高齢者世帯)

 時代の流れとともに高齢者の居住環境は大きく変わってきている。昭和時代の高齢者は家庭の中では暮らしに応じたそれなりの役割があって地域社会にあっても臆することは無かった。平成を経て令和の時代を迎えた高齢者はどんな暮らしをしているのだろうか


▼昭和時代は子供や子供夫婦と同居するのはごく普通であったのだが平成も末になると「夫婦のみ」あるいは「一人暮らし」の高齢者が目立つようになった。平成28年の「国民生活基礎調査」を基にして作成したとされる沖縄県における高齢者の単独・夫婦のみの世帯が53・9%にもなり、子供・子供夫婦と同居する世帯は41・1%(社会福祉学習双書 2019・老人福祉論、13)と言われている。子供が親元を離れて暮らすのが当たり前になったのだろう


▼成長した子は子なりの生活があって親との同居が困難な状況では時がたつにつれて家族という意識が薄らぐのは仕方のないことかもしれない。子供たちが去って高齢の夫婦のみ、あるいは一人の生活はややもすると周囲との関わりを絶って孤立しかねない


▼孤立した高齢者世帯では老老介護、ごみ屋敷、引きこもりといった生活の質が著しく低下して人としての尊厳を失った状態に陥り、虐待や孤独死といった最悪の事態も起こるようになる


▼「2015年の高齢者介護~高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて~」(厚生労働省「高齢者介護研究会」報告書)は「(高齢者が)尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である」と述べている


▼宮古島市において、報告書のいう社会構築に向けて基礎となる高齢者世帯の実態調査はなされているだろうか。(凡)