2020年1月18日(土) 8:54

【行雲流水】(子の年)

 成人式も終わって正月気分もすっかり薄らいでしまったが、子(ね)年にちなんでネズミに関する話を拾ってみた。ネズミは人に害をなすものとして疎まれもするが、神の使いとして大事にされたりもする。「ねずみ浄土」として広く知られているのがおとぎ話の「おむすびころりん」だ


▼山にしば刈りに来たおじいさんがお昼にしようと包みを開いたらおにぎりが穴の中に転がり落ちてしまった。穴をのぞき込んだおじいさんも落ちてしまったが、そこにはたくさんのネズミがいておじいさんを喜んで迎え、おにぎりのお礼と言って宝物の詰まったつづらを持たせる、おめでたい話


▼日本の国造りを語る記紀では、古事記(新潮日本古典集成、西宮一民校注)にネズミが大国主命を助ける話があって「スリルとサスペンスのドラマを観る思い」と注釈で記すほどの件がある


▼この場面では大国主命は葦原の色許男(しこお)の命として登場する。八十神の難を逃れて来た根の堅州国(かたすくに)で須佐之男命の娘と結婚したものの厳しい試練を受け、終には須佐之男が原野に鏑矢を放ち、それを拾って来いと命ずる。葦原の色許男が原野に入ると須佐之男はまわりに火をつけた


▼逃れるすべのない色許男の前に現れたネズミが「内はほらほら、外はすぶすぶ」と言うので、そこを踏むと穴に落ちて火を避けることができた。人はこれを「鼠の火除けの霊力」とたたえる


▼ネズミは子孫繁栄を象徴する生き物でもある。子宝に恵まれることに限って言うのではない、子を産み大切に育てて親が年老いて死んでも子や孫が繁栄することを意味する。子年を迎えて、祖先があってのいまの繁栄であることを思い起こした。(凡)

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