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社会・全般
2010年10月30日(土)22:30

仲地邦博さん(54歳)/「宮古野鳥の会」会長

野鳥の営みに学ぶ

仲地邦博さん(54歳)

仲地邦博さん(54歳)

 寒露のころ、サシバの観察地点・久松墓地団地上辺から西の空を見つめる仲地会長。宮古野鳥の会がサシバのカウントを始めてから37年、この時期になると会員らがひたすら空を仰いでいる。10年前、野鳥の会に入会、今年から会長を務める。今では本職の塾経営より野鳥カメラマンとしての名前で知られる。「人を育てる仕事は難しいだけにストレスも多い。その気分転換に始めた野鳥とのかかわりだったが、今では教えられることの方が多い」


 池間島で生まれ育った。多くの野鳥が飛来するユニムイ(湿原)で少年期をおくる。今でも週に一度は両親の健康を確認に池間島に帰るが、必ずユニムイにも足を伸ばす。「埋め立てる前のユニムイはモクマオやマツが生い茂り、サシバも多く飛来した。汽水域で、多くの生き物たちの生息地だった」と当時をしのぶ。ユニムイは渡り鳥の絶好の中継地点ともなっている。

 宮古島は、地理的にシギ・チドリ類、カモ類、サギ類、サシバ、アカハラダカなど渡りをする鳥にとって重要な位置になるといわれる。仲地さんは会員連名で宮古諸島の渡り鳥についての論文なども学会で発表している。作品には、野鳥たちの営みの中でも親子の写真が多い。サンコウチョウのつがいが雛を必死で育てている作品は、ほのぼのとした中にも多くのメッセージ性を含む。

 「小さいながらも、雛を守るためにカラスにさえも向かっていく」と話す仲地さん。「かわいい」という単純な気持ちから入って撮影を始めたが、鳥たちの営みを観察するにつれ、塾の生徒たちをしっかり育てていきたいとの思いに駆られたという。

 「サシバの飛来は、会が40年近く観察を続けているが、そのデータによると数は年々減少している。自然変化の指標になると思う。宮古島は森林率も減少、休むための木が少なくなった。環境の変化はおそらくエサにも影響しているだろう」と話し、会の実績を踏まえ、きちんと主張できるためにも、近く会をNPO法人にしたいという夢を描く。


 仲地 邦博(なかち くにひろ)1955年12月28日生まれ。宮古高校卒。名古屋医学部中退。琉球大学法学部卒。83年、アルファ教育システムの講師に。94年「未来塾」設立。96年、東進衛星予備校宮古校設立。2000年、宮古野鳥の会に入会。06年から副会長で今年から会長に。


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