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社会・全般
2011年1月1日(土)9:05

美しい村豊かな島へ/多良間

全国連合に加盟、魅力発信


村民が先輩から後輩へと長年引き継いできた八月踊り

村民が先輩から後輩へと長年引き継いできた八月踊り

 島には国の重要無形民俗文化財に指定されている八月踊り(豊年祭)などの伝統文化や、フクギなどが立ち並ぶ抱護林に囲まれた琉球風水の集落、青い海やカラフルな熱帯魚が住むサンゴ礁等の伝統文化や自然が息づく。住民が長い年月の間にはぐくんだこれらの地域資源が高く評価され、村は昨年9月、NPO法人「日本で最も美しい村連合」加盟を認められた。

 連合のホームページを開くと、島の航空写真や八月踊り、集落景観などの写真が目に飛び込んで来る。アクセスの方法や問い合わせ先(多良間村役場)も紹介している。

 連合は日本の農山村に残る地域資源の保護活用や、小さくてもオンリーワンを持つ村の誇り醸成・自立を支援しようと2005年に活動を開始した。昨年は新たに6カ所の村が加わり、全国の加盟自治体は39となった。

 期待される加盟のメリットは、①インターネットによる地域魅力の発信②観光振興への追い風になる③住民によるまちづくり活動の展開-など多い。下地昌明村長は、連合加盟と関連する取り組みとして、地元の食材を活用した特産品の開発や宿泊施設の整備、観光案内板設置などに意欲を示す。

 連合加盟は「地域資源が二つ以上あること」などが条件。多良間村は八月踊りの伝承保存と生活に根差した琉球風水による景観保全が評価され、資格基準を満たした。

 八月踊りは、今後ユネスコの無形文化遺産「代表一覧」に記載される予定。琉球風水の集落景観が残っているのは、県内でも多良島だけという。

 琉球風水には集落景観のほかに①国指定文化財の先島火番盛(3カ所)②県名木百選中10本が村内に存在-なども挙げている。

高齢者を大切にする社会に/下地村長にインタビュー

下地昌明村長

下地昌明村長

 -昨年を振り返っての感想を

 サトウキビは2万7000㌧の大豊作だった。肉用牛は価格低迷が気になるが、今後回復すると期待している。日本で最も美しい村連合に加盟させていただき喜んでいる。これから連合の理念に沿って伝統文化を大事に、特産品も開発して観光客をもてなしの心でお迎えしたい。美しい村連合の加盟は若者の雇用を促進する基礎作りだと思っている。島を巣立っていく子どもたちが島に誇りを持ち、そして帰って来る島づくりをしたい。村民にとって航空、船舶運賃は大きな負担になっている。社会実験ではあるが小規模離島割引運賃が昨年の10月から始まった。従来1万2千円だった多良間-宮古島の往復運賃が7900円になったことは大きい。今後とも離島住民の負担軽減に配慮してほしい。交通費が安くなれば、観光客の誘致もしやすくなる。

 -新年度取り組みたいことについて

 村では高齢化が進み高齢化率は30%近くになった、今後は福祉事業を強化しなければならない。70歳以上と小学生以下の空港と港間の村営バス運賃を無料にする。高齢者の方は連絡があれば自宅まで迎えに行く。高齢者を大切にする社会にしていきたい。

 サトウキビはこれまで以上に力を入れる必要がある。キビは島の経済を支えている。ここ4年間は2万5000㌧をクリアした。従来の目標は2万㌧だがこれを3万㌧に引き上げて、常時達成できるような生産体制に持っていきたい、そのためには堆肥の安定供給や台風、干ばつに強く、分けつの多い品種選定が必要になる。ただ黒糖の売れ行きが鈍いのが不安材料。この課題の解決には含蜜糖制度の改革が欠かせない。分蜜糖並みの制度にして国がすべてを買い上げて市場価格をつくれば安定経営ができる。一昨年の12月と昨年の2月にはそのことついて農水省などに要請した。さらに5月にはJAや県、黒糖生産地自治体が一緒になってシンポジウムを開き販売促進をアピールした。

 肉用牛は価格が低迷しているものの農家には熱意が感じられる。昨年は簡易型と畜場の建設を県に要請していたところ、良い返事をいただいた。簡易型と畜場はヤギや豚、1歳までの牛のと畜ができる。新年度内に建設する約束ができた。従来は宮古島でと畜して数日後に枝肉が戻ってくるという時間的、経済的ロスがあった。建設後は島でと畜処理した新鮮なヤギ肉などを島外にも移出できる。と畜場の建設は地産地消や新製品の開発にもつながると思う。高齢牛の入替助成や優良系統導入なども支援していきたい。

 観光客や全国の人々が喜ぶ特産品を開発することは、雇用につながる。多良間の特産である黒豆のさらなる普及やピンダ事業の促進に力を入れる。数年はかかると思うが、新たな試みとしてヤシの普及に取り組む。ヤシは加工産業につながる。

 美しい村との関連では、ゼロ・ウエィスト(ごみを出さない)事業を導入している。イベントでは、割りばしやレジャーどんぶりなど使わない活動が始まった。シルバー人材センターと観光協会は花いっぱいの島づくりに取り組む。観光案内板も増やしていきたい。観光客にも島をきれいにする活動に参加していただく。

 昨年11月から緑と水の環境技術革命プロジェクトの調査事業に入った。一言でいえば、バイオマス産業。ソルガムからバイオエタノール燃料を生産する。汁を搾った後の茎や葉は、牛の飼料になる。ソルガムは、化学肥料に由来する硝酸態窒素を吸収する。生活用水を地下水に頼る島にとって必要な事業と痛感し導入した。

 -村民にメッセージを

 昨年は村民の協力のもとでつつがなく1年を終え、新年を迎えることができた。今年はあらゆる面の産業を振興していきたい。農産業はもちろんのこと、畜産の復活に力を入れる。子どもたちに誇りの持てる島にするために、美しい村連合に加盟した。村民の皆さんには、観光客を温かくもてなす気配りを行政とともにやっていただきたい。


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