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社会・全般
春(行雲流水)
春3月、いくつもの歌がこの季節を寿いでる。その一つ『どこかで春が』にも春の光りが満ちあふれている。♪「どこかで春が生まれてる/どこかで水が流れ出す。どこかでひばりが鳴いている/どこかで芽のでる音がする。山の三月東風吹いて/どこかで春が生まれてる」
▼春は、草木の芽が「張る」の意であり、また田畑を「墾るの意である。英語の春はスプリングで、これには「跳ね出す」、「発生する」、「泉」、「バネ」などの意味がある。いずれも万物に生気がみなぎっているありさまを表している。当地でも葉をすっかり落としていたクワデーサーやサルスベリが新芽を吹き出して春の訪れを感じさせている。歌にならえば、新しい樹液の流れる音がする
▼めぐる季節の中で、人は花や樹木に思いを託してきた。多くの民俗で、根を張り、枝葉をつけ、実を結ぶ樹木は生命や豊穣のシンボルとされてきた。「若木は希望であり、新樹は救いである」とも言われる
▼「年々歳々花相似たり、歳々年々人同じからず」。「静かに、わが心よ、これら大きな樹木たちは祈祷者なのだ」(タゴール)。「不思議なことに、樹齢何百年の老木でも年に一度は新芽を吹いて新緑に萌え立ち、新樹の姿に若返る」(荒垣秀雄『老樹の青春』)
▼季節はめぐり、太陽は日々春分点(見かけ上の太陽が赤道の南から北へ抜ける点)に近づいていて、3月21日「春分の日」に通過する
▼「春分の日」は「自然をたたえ、生物をいつくしむ」国民の祝日である。