漁村で盛大に旧正月/大漁、航海安全を祈願
親戚集い料理囲み酒宴
漁業のまちの佐良浜や池間、久松では23日、旧暦の年の始まりを祝う旧正月が盛大に行われた。佐良浜漁港には、数十隻の漁船が日の丸や大漁、航海安全を祈願する色鮮やかな旗を掲げて停泊。親戚一同が集い、豪華な料理を囲みながら酒盛りをする家庭も見られた。
宮古の正月は一昔前まで、新・旧の両方が行われていた。しかし、1950年代
の後半から新正月一本化運動が展開されて新正月中心に変わり、現在、旧正月は旧暦と仕事や生活が密着する漁村だけに残った。
漁師らは早朝、船に旗を立て、漁師と舟の守護神とされる船霊に神酒や海、陸の幸を供えて祈った。好天だと乗組員が船に集い酒宴となるが、小雨模様の肌寒い生憎の天気となりその姿は見えなかった。
家元(ヤームトゥ)である久高正廣さん宅=佐良浜=には、早朝から約50人の親戚が入れ替わり立ち替わり訪れた。
最初の来客は、午前7時半ごろ。携えて来た料理を神棚の前に供え手を合わせた。居間の飯台にはイカやタコ、魚の刺身や豚肉、豚ソーキなどがずらり。親戚たちは、正月ならではの料理を囲み、三線も弾きながらにぎやかに酒を酌み交わした。
久高さんは家族や親戚一同の健康と、家庭円満を祈願。海の仕事をしている四男の英治さんは「航海と仕事の安全に万全を期したい」と気を引き締めた。
伊良部漁協の友利義文組合長は「昨年は、大型のカツオが大漁だった。漁業基盤整備では、カツオ一本釣りの生き餌捕獲に利用する鋼鉄製人工漁礁(別名パヤオ)を3カ所に沈めた。この効果が出れば今年も昨年以上の大漁になると思う」と期待を込めた。
佐良浜では新正月も祝うが、旧正月ほど盛大ではないという。