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行雲流水
2019年6月11日(火)8:55

【行雲流水】(若者へのメッセージ)

 若い世代に言いたいことはいろいろあるが、ここでは人気作家あさのあつこと、代表作『北の国から』の倉本聰の、若者へのメッセージを取りあげてみたい

▼あさのは、中高校生を対象に、「読書の学校」シリーズでシェークスピアの『マクベス』を題材に、特別授業を行う。『マクベス』のマクベス将軍は戦いに勝って凱旋(がいせん)する帰途、魔女にそそのかされて、王と強力な友を殺害、王位に就く。しかし、友を殺した罪の意識がマクベスをさいなみ、友の幽霊をみて錯乱する

▼あさのは生徒たちに読後の感想を述べさせ、自分なりの感じ方や考えを大切にするよう促す。そして、それを文字に書きとめることの大切さを説く。ちなみに、あさのは「魔女はマクベス自身で、自分の欲望や劣等感だ」とみる

▼若い時は、悩みや葛藤などで不安定な壁にさいなまれがちだが、「本は壁を扉に変えてくれる」と、読書を勧める

▼倉本聰は後進の育成を目的に富良野塾を開いているが「自分の五感を生かして、自然と共生すること」の重要性を説く。倉本は、ある本で「街を歩いていると、良い顔をした男に出会った。彼は良い芝居を見た帰りに違いない」という言葉に出会って感動、「僕も、芝居やドラマで人を良い顔にしたい」と語る。あさのは、「絶望より希望を語ること」が大人の責任だと語る

▼体制や既成概念にとらわれることなく、自分の五感で感じ、自分の頭で考えることの重要さを説き、そして、若者に自己肯定感を与えることで、倉本、あさのの両者は共通している。(空)

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