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視点・焦点
2018年6月30日(土)8:54

【視点・焦点】大詰めの保守候補選び/竹中 明洋

 知事選挙の保守系候補者選考が、いよいよ大詰めを迎えている。自民党や経済界による候補者選考が、宜野湾市の佐喜真淳市長に一本化されつつある。選考委員会での議論では、これまで多くの名前が俎上に載せられてきた。県選出の国会議員、首長、仲井真県政の幹部、中央省庁の官僚、マスコミ関係者・・・。

 選考委員会の立ち上げから取材を続けてきたが、佐喜真氏が有力とされる理由として、市長として豊富な行政経験を持つほか、普天間飛行場がある自治体のトップとして、複雑に絡み合った基地問題を熟知していることなどが挙げられる。

 「知名度ばかり高く経験が十分でない候補を出して空中戦をやる選挙のスタイルは、沖縄知事選にはふさわしくない」と話す選考委員会の関係者もいた。佐喜真氏が出馬を決断するカギは、宜野湾市で後継体制が構築できるかにあるだろう。

 この動きと並行して盛んに知事選への意欲を示してきたのが、シンバホールディングス会長の安里繁信氏だ。県内各地で盛んに集会を開いたが、昨日、支援者の若手有志らが正式に出馬を要請した。安里氏の支援者らは、選考委員会が1カ月も開かれないまま佐喜真氏を軸に選考が進むことについて、「公平公正なる選考委員会は瓦解した」と批判している。

 近く安里氏本人が正式に出馬表明するのでは、という話も伝わってくるが、政府や自民党本部からは、「保守票を割るつもりか」と警戒の声も聞こえる。あくまでも突っ走るのか、それとも振り上げた拳を下ろすのだろうか。

 そして、知事選の行方を占うもう一つの重要なポイントが、翁長雄志知事の体調である。23日の慰霊の日の追悼式では、翁長知事は帽子を取って平和宣言を読み上げた。

 翌日の新聞各紙はあまり触れなかったが、あの映像を見た県民の誰もが驚いたはずだ。声こそ退院直後の会見の時より張りがあるように感じられたが、抗がん剤治療の影響だろうか。ショックだった。多くの県民は、知事の体調はかなり深刻と感じたのではないか。

 翌々日の県議会を、翁長知事は治療日程の変更を理由に欠席した。自民党側の候補者選考の動きが加速し関連する報道も増えてくるなかで、知事の不在が多くなることは痛手だ。

 翁長知事は続投する意志があるのか、選挙に臨める体調なのか。本人が意思表示をしないために、後継候補の選考作業は表だって進まず、マスコミも、それを報じるわけにもいかない状況だ。

 それでも、慰霊の日式典で翁長知事が、「辺野古に新基地を造らせないという私の決意は県民とともにあり、みじんも揺らぐことはない」と読み上げたことに、知事の執念を感じずにおれない。

 ただ、その気持ちとは裏腹に、包囲網は狭まっている。8月には辺野古の埋立区域に土砂の搬入が始まる。そうなれば、これまで移設計画に反対してきた県民の間に諦めが広がるのではないかと政府関係者は見る。

 辺野古移設計画の是非を問う県民投票の実施を求めて集まった署名は、一昨日の正午現在で8502筆。県民投票の実施に必要な数の3分の1を上回るに過ぎない。連合などが支援しているとは思えぬ低調ぶりで、大きなうねりのような動きにはなっていない。残り1カ月近くで、どこまで集まるだろうか。

 最後は、翁長知事が撤回というカードを切るしかないのか。体調次第では、カードを切って、知事選に出ないというシナリオもあり得るかも知れない。

 今後も目を離せない動きが続きそうだ。

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