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まちからむらから
2012年2月25日(土)22:42

-大神島は今-/平良地区

学校跡地の活用がテーマに


廃校になった大神小中学校の校舎は昨年10月末崩され、跡地は更地になっている

廃校になった大神小中学校の校舎は昨年10月末崩され、跡地は更地になっている

 昨年暮れ、廃校となった大神小中学校は解体され更地となった。住民は最後まで学校存続を願ったが、高齢化と人口減少で成り立たなくなった現状がある。一月末人口は33人(18世帯)。その内80歳以上が12人。平良に住む子どもたちが時々見に来るもののひっそりとした島になった。そんな中、2世たちでつくるたかま会(狩俣幸一会長)は、何とか島を元気にしようと、年4回島の清掃や観光客の誘致など新たな事業の創出にも積極的。


 自治会長の久貝初男さん(54)は、昨年4月に着任した。本職は大工。「学校施設は何とか活用したかった。市が老朽化で壊すというので、それなら団地か宿泊施設を造ってほしいと要請した。ところが今となって予算がないとか言って計画が立てられなくなってしまった」と話す。更地となった学校跡地は約1020坪。部落有地と住民4人の所有だという。今後の展開が気になるところ。

 学校跡地に父親の土地があるという久貝愛子さん(56)は沖縄本島に住んでいたが、3年前、島に戻り夫と二人で暮らしている。「私たちの幼いころは生徒数50人余で、とても島は活気があった。久しぶりに帰って住んでみると、高齢者がほとんどでほんとに静かな島になってしまった。子どもが島にいないということは自然に寂れていく。だからといって、観光客を誘致してにぎやかにしようとも思わない。むしろ、お年寄りのペースに合わせて働ける者が島の元気を取り戻していくというやり方がよいのではないか」と話す。

 学校の宿舎があった土地を整備する大浦高義さん(65)。沖縄本島で暮らしているが、定年を機に時々帰って両親と暮らしている。「今は行ったり来たりの生活。いずれ、ここで宿泊施設と雑貨屋を開きたい。特産品づくりにも力を入れていきたい」と夢を膨らます。たかま会は「学校跡地に体験型宿泊施設を建設し全国の小・中学校の生徒を対象に昔の暮らし体験やカーキダコの作り方などを教えていきたい」と話し市にも要請している。

 前自治会長の友利行雄さんは、現在平良に住むが週末時間がつくれる日は、島に来て清掃活動を行っている。この日は、那覇に住む知人の前里一江さん(61)も平良から妹の孫二人を連れて島に来ていた。5歳のあいりちゃんとさらちゃんは、前里さんと一緒に掃除をしたり遊んだり島を自由に駆け回る。友利さんは「島に子どもの声が聞こえるということはほんとに久しぶりのこと。みんなに元気を与えてくれる天使のようだ」と話す。

 唯一、雑貨屋を営む久貝ウメさん(91)も健在、島ではなくてはならない存在だ。「足が不自由だが、頭はまだまだ大丈夫、お金の計算もできる」と笑う。島でずっと漁師をしてきた狩俣英吉さん(87)も、いまだ船で漁に出掛ける。家の側の小さな畑はクダンソウ、ニンニク、ニンジンなど生活に欠かせない幾種類もの野菜が植えられている。島の高齢者は、それぞれの役割でこれまでの生活を淡々とこなしている。

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