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ペン遊・ペン楽
2012年7月25日(水)22:00

『宮古島の永遠の杜(森)』/國仲 洋子

2012.7.26 ペン遊ペン楽

 

 何年か前から、今度東京へ行ったら必ず行こうと決めている場所がある。それは、都心の真ん中にある巨大な鎮守の杜(森)、明治神宮。あるとき、そこは自然林ではなく、人間の手によって永遠の森を目指し計画造成されたことを知ったときから、ずっと気になっているスポットである。


 雑誌や本で見るうっそうとした森。広さ約70ヘクタール、東京ドームの15倍だというから驚きだ。人工の森を造ったきっかけは、1912年、明治天皇を祀る神社創建のため。全国から献木された10万本の木々を、7~8年かけて植栽し現在の見事な*天然更新の森になった。

 神宮の杜(森)は、都民の憩いの場であり、日本で最も多くの参拝者を集める聖域でもある。また、都市防災の機能やヒートアイランド現象などを緩和する大事な役目を果たしているようだ。第2次大戦時の空襲では、他地域同様攻撃を受け社殿は消失したが、森はほとんど焼けることはなかった。これこそ自然のもつ底力ではないだろうか。

 古来より日本では、さまざまな物に魂が宿っているとし、森に神が鎮まりたもうと考えられてきた。奈良県の大神神社、長野県の諏訪大社などでは、森そのものが神社あるいはご神体として崇敬されている。自然そのものに神が宿ると捉えられているのである。

 民俗学者の谷川健一氏によれば、琉球弧に広く分布する御嶽信仰こそは古の神社の原型であるという。中でも宮古諸島に色濃く残り私たちの生活に深く根ざしている。ところが、自然を畏れ敬う原型がそのままの形で残っているはずの宮古島の森は今、危機に瀕している。復帰前1955年当時、かろうじて30%あった森林率は、開発が進み1994年にはわずか16・3%にまで減少した。

 その結果何が起きたのか? 防風林が育っておらず機能しなかったため、平成15年の台風14号のときにみられるような凄まじい被害をもたらしたのだ。

 その後、防風林(森)育成の大切さに目覚めた有志らにより、宮古各地で植樹が続いている。その活動は平成17年から始まり、これまで植えた木は約2万本、参加者は子供から大人まで3000人余。島をあげて緑を増やそうとする努力が続いている。地域の人々の生活と風土は、豊かな緑があってより調和されていくものなのかもしれない。

 100年前、遠い東京の明治神宮が、地域を守り時には心の拠りどころになるよう計画されたように、この島の森も大切に育てられていくに違いない。

 私自身は見ることのない50年後、100年後の宮古島の永遠の森を想像すると、気持ちが豊かになってくる。たくましく育った木々は、何百年も先まで、島の守り神として輝きを放っていることだろう。

 *天然更新とは、人が苗を植えたり、種を蒔いたりすることなく、自然の力によって後に続く森林を造る方法。
 (宮古ペンクラブ会員・看護師)

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