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インサイドリポート
2013年6月15日(土)23:00

美ぎ島へポイ捨て解消を

自分の家同様、島を大事に

 国は環境の保全について、国民の関心を高めるため、6月を「環境月間」と定めた。宮古には県内で最も多いとされる不法投棄ごみや、ポイ捨てごみ、海岸の漂着ごみ、地下水の窒素負荷など環境問題は多い。環境月間にちなみ、ごみのポイ捨て問題を追った。


 ポイ捨ては心の問題

 「宮古島は、ごみのない美しい島」。観光客の数人が、異口同音にそう話した。行政の取り組みで最近、観光道路が美しくなっており、そう見えても不思議ではない。一方、地元住民は「ポイ捨てする人あれば、拾う人あり」と冷ややかな見方だ。両者には旅人と島の隅々まで見る永住者の違いがある。真に美しい島を作り、観光を一層発展させるために、同問題の早期解決が望まれている。
 ポイ捨ては、心(社会規範意識)の問題といわれる。「みんなもポイ捨てしているので、問題はない。捨てる手間も省ける」。ポイ捨てする人には、そんな身勝手な意識が働いているとみられる。
 宮古島市環境美化推進条例には、「道路等に空き缶等のごみを投棄し、または汚した者は、3万円以下の過料に処する」とある。良識ある住民らは「決めたことを守れない大変な島」と憂慮する。

 ポイ捨ての状況

 道路側の草むらには、ポイ捨てされた空き缶が多く潜む。道路でもほんの少しだが、ポイ捨て缶が見られる。住民らは「道路に捨てられたごみが、街の美観を最も損ねる」と指摘し、一部住民の不心得を嘆く。後続車がいるにもかかわらず、車窓からたばこの吸い殻を堂々と捨てる人もいるからびっくりする。女性の市民は「海中にも、捨てられたごみがあった」と指摘した。ポイ捨ての問題は、海まで及んでいる可能性がある。

 拾う人

 宮古島市は、観光立島をうたう。2012年度の入域観光客数は、過去最高の41万人を達成し、観光客が使った金は、214億円に上った。市は観光を一層発展させるため、12年度から一括交付金を活用した観光地アクセス道路の清掃を始めた。道路側の雑草を除去し、道路のごみも収集する。市の担当者は「観光客が『ごみのない島』と言ってくれるのは事業効果の現れとも考えられ、喜ばしいこと」と見方を示した。
 道路沿線の住民が家の前の掃き掃除を行い、休日には市民ボランティアがごみ拾いに汗を流していることも忘れてはならない。
 市シルバー人材センターは、市港湾課から委託を受け週に1回トゥリバー埋め立て地の清掃を行う。2人1日がかりで、軽トラック1台分を収集する。ごみはビールや飲み物の空き缶、総菜などを入れるプラスチック容器、菓子袋などが多い。仲間同士飲み食いして、ごみを置き去りにしている様子がうかがえるという。「捨てる人」「拾う人」の構図が、明確に見える場所だ。
 同所には、釣り糸などのポイ捨てごみも多い。餌の付いた釣り針が鳥のくちばしに刺さったり、釣り糸が足に絡んだりするケースが報告されている。

 教育

 「ごみをポイ捨てすると島が汚くなり、観光客が来なくなるよ。ママは、観光客がお土産を買ってくれるおかげで仕事ができる。ごみは、ちゃんと持ち帰って捨ててね」。宮古空港ターミナルビルの土産品店で働く女性は、そう言い聞かせて、子どもを育てたという。家計が観光と直結する家族は、ごみのポイ捨てをしない様子が同ケースから、推測できる。行政も、長い間環境美化啓蒙活動を続けてきた。「以前と比べ、ポイ捨てごみは大きく減った」と、従来の取り組みを評価する人が多い。

 今後に向けて

 道路は、行政の管理作業で美観が保たれており今後も必要だ。ただ、空き缶などのごみに関しては拾う人が、いなくても済む街にしなければならない。ある市民は「自分の家と同じように、島を思う気持ちがあれば、ポイ捨てはしない」と言い切った。

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