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人生雑感
2016年8月3日(水)9:01

【人生雑感】疎外感と孤独感、それから回復させるのは愛の力である

沖縄国際大学名誉教授 福里 盛雄

1 疎外感と孤独感とは その発生原因は

 疎外感とは、のけものにされているという感覚のこと、と国語辞典では説明されています。私なりに言い換えると、他人から自分たちの仲間の一人として相手にされないことだと言えます。人は人として生まれ人間になる、と言うように、私たち人間は社会的動物であるから、仲間から無視され、のけものにされることは、人間性が否定されることになります。そのような状態の中では、一人の人格者としての存在感も否定されてしまいます。

 仲間はずれにされると、生きていくことが大変困難になります。その困難な状況の発生は、人間性の心の貧しさによる場合が多いが、本人の自己中心性による場合もあります。自分の都合のいいことばかりを考え、自分の利益のみ考えて仕事をすると、私服を肥していきます。そして、莫大な富を蓄積します。外面的には金持ちで幸せそうに見えます。
 しかし、このように他人を犠牲にする生活をする人は、他の仲間からのけものにされ、誰もそのような人のそばには寄ってはこないし、その人とは一定距離を保って生活していきます。ですから疎外感は、人を孤独にします。
 孤独感とは、ひとりぼっち、たすけがないこと、と国語辞典では説明されています。
 一人ぼっちで誰一人として相手にしてくれない。そのような人の心は寂しく、孤独感に満ちあふれています。私たち人間が孤独の中で生きていくことには、限界があります。そこで孤独を癒やしたいという内部欲求を持っています。その時、よい方法を選択すればいいのですが、引きこもりや登校拒否、暴走行為、薬物使用等のその他の悪習慣に落ち込む人もいます。
 私たちは、疎外感・孤独感から解放されないでは、健全な幸せな人生を営むことは、不可能であることが理解できたと思います。

2 疎外感・孤独感から回復させるのは、愛の力である。

 疎外感・孤独感を抱いている人には、それなりの人間的弱さがあります。その弱さを理由に、その人を疎外して、のけものにして一人ぼっちにしないで、無条件にその人を受容し、優しい愛で包み込むことが必要です。受容的愛は、疎外感・孤独感の中にいる人にとっては、生きるための大きな力となり、未来へ向かってその人を導く光となります。
 誰でも、疎外感・孤独感から回復したいという内部的欲求を持っています。そのような人の心に愛の光がさし込むとき、その人の心は急展開する。その人が自分の現在の問題を直視し、その問題から逃避しない限り、愛の光はその人の心を動かし、正しい行動を実践させます。そして、自己中心主義から他人と連帯し、協調して、他人から奪い集める生き方から、他人に分け与え、蓄えた富を散らす生き方へと変化していきます。
 疎外感・孤独感の中にいる人は、自己嫌悪感が強く、セルフイメージが低いのです。そのために、自分のやっている行為に対して正しい価値判断力に欠けている場合が多く、間違った考えをしがちです。
 私たちは、人を疎外することなく、その人の存在を尊重して、その人をひとりぼっちにしないで、誰に対しても、優しい愛の眼差しで見つめ合いたいものです。
 むろん、私たちの創造者の愛は、無条件で普遍的で不変であるが、人間の愛には限界があります。人間に無条件の優しい愛を完全に実践することを望むことは、無理かもしれません。しかし、そのような人間になることを目指して生きることこそ、豊かな幸せな人生を過ごすための大きなエネルギーになると考えます。

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