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行雲流水
2017年8月22日(火)9:01

【行雲流水】(『永六輔の伝言』)

 ♪、「知らない街を歩いてみたい/どこか遠くへ行きたい―」。永六輔は日本各地を旅して、市井の人々の声を「無名人語録」にまとめた。また、ラジオ番組「どこかで誰かと」などに反映させて語った。その回数は、40年余にわたり、1万2千回を超える。作詞した歌は、『上を向いて歩こう』、『見上げてごらん夜の星を』、『こんにちは赤ちゃん』など多彩である


▼永の盟友・矢崎泰久が、本人になり代わって、永とその仲間たちのことを『永六輔の伝言』に書いている

▼『ひょっこりひょうたん島』の作者井上ひさしは、資料を徹底的に調べるので、遅筆であった。作家としてのモットーは「むずかしいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを面白く、面白いことを真面目に書くこと」であった。寅さんシリーズの渥美清は、母親に「お袋、俺、元気」とだけのはがきを毎日書いた

▼戦争のとき餓死した妹を見届けた野坂昭如の原点は、「二度と、飢えた子どもの顔を見たくない」ということであった。飢えた子どもに自分の顔をちぎって差し出すアンパンマンの生みの親・やなせたかし曰く「究極の正義は飢えた人をなくすことである」

▼「ブルースの女王」淡谷のり子は舞台で一度だけ泣いた。知覧でのコンサートのときで、若者たちは深く頭を下げて一人、また一人去っていった。特攻隊への出撃命令が出たからである

▼矢崎泰久は書いている。「自由と平和を願い、権力に迎合しなかった永六輔さんとその友人たちの反骨を、私たちは伝え、かつ共有していきたいと思う」。

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