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行雲流水
2019年3月28日(木)8:54

【行雲流水】(統計国会)

 国の新年度予算が成立した。昨年末の閣議決定後に「毎月勤労統計」の不正調査が発覚し、急ぎ組み替えた異例の政府予算案だ。国会では、予算案の審議は〝そっちのけ〟で統計問題を審議した。おかげで、統計について考える機会を得ることができた


▼統計は、数値で実態を映す鏡だ。「宮古の農業就業者は減った」では、映像がぼやけて見える。国勢調査の統計を使って「8041人(平成2年)から4294人(平成27年)に減った」と言えば、実像がはっきり見える

▼統計は大事な情報基盤だ。政府は経済社会の動向を統計で把握して、政策をたてる。企業経営者は、政府の施策や消費者ニーズの動向をふまえて、経営方針をたてる。統計は、建築における礎石のようなもの。礎石がぐらついていたら「砂上の楼閣」になる。教育、医療、家計などあらゆる分野で、統計は重要な役割を果たしている

▼根拠のない「思い込み」は、希望的観測にすぎない。今国会では、野党は「何かあるにちがいない」と思い、与党は「たいしたことはない」と思い込んでいるように見えた。野党の〝勉強不足〟と与党の〝おごり〟であろうか

▼統計の取り方・使い方は多様だ。国会は、統計行政の手抜きを糾弾するのは当然だが、統計学上の検証は専門家に委ねるのが適切であろう。すべてを権力の維持・奪還闘争に使っていると、有権者の政治離れが加速するだけだ

▼来年度は、新元号のもとで心機一転、考え方を一新していきたいものだ。古人いわく「新しい皮袋には新しい酒を」。(柳)

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