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行雲流水
2019年4月9日(火)8:54

【行雲流水】「生きがいについて」

 「ハンセン病市民学会・交流会in宮古」第2回パネル展が、4月8日から12日まで、市役所ロビーで開催されている。テーマは「宮古南静園の隔離の歴史と今」である

▼戦前期まではハンセン病の治療法がなく、人々を苦しめていた。しかし、現在の日本では感染することも発症することもほとんどなく、治療法も確立されている。その認識を徹底するとともに、歴史に学び、偏見や差別のない社会の形成を志向することは重要である


▼ところで、精神科医の神谷美恵子は長島愛生園で調査を行い、同じ条件下にいても、ある人は生きがいを感じられずに悩み、ある人は生きる喜びにあふれているのを目にした。その違いは何か。人間の生きる意味はどこにあるのか▼そうした問いに対し、患者の生きる姿や、古今東西の哲学や心理学、芸術や宗教などの書物に学び、自らの思索を通じて考察を行い、その成果を、20世紀日本を代表する思想書とも言われる『生きがいについて』にまとめた

▼神谷は説く。生きがいは他から与えられるものではなく、すべてのひとに潜在的に存在している。それを発見、使命感を持って生きることで、生きがいが生ずる。そして、それが他者(人間、自然、言葉、真実、美)と共にあることを深化させることで真の生きがいに至る

▼人には、悲しみなどの過酷な試練もあるが、そこからしか見えないものに不滅の生きがいをみる。神谷は柳宗悦から学んだ。―古語では「愛し」を「かなし」と読み、「美し」さえも「かなし」と読んだ。(空)

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