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行雲流水
2019年4月23日(火)8:54

【行雲流水】(真理の把握)

 ルネサンスや科学革命などをきっかけに世紀に花開いたのが近代哲学である。「われ思う、ゆえにわれあり」という言葉で知られるフランスのデカルトに代表される「合理論」は、経験より理性の推論によって真理が把握できると考えた

▼一方で、「知識は力なり」の言葉で知られるイギリスのベーコンは、観察や実験によってデータを収集し、そこから帰納的に法則を導くことで真理を把握できると考えた

▼ただし、彼は、真理を把握するうえで障害になるイドラ(偶像、偏見、先入観)を指摘、その克服の必要性を説いた。その四つのイドラは、①人間が共通して持っている錯覚。②個人の性格や経験、教育などから発生する偏見や先入観。③言葉の不適切な使用によって生ずる誤解や偏見。④伝統や権威の盲信によって生ずる偏見、である。さらにベーコンは述べている。「人間は真であるものより、自分の欲するものを容易に信じ込む傾向がある」

▼真理を把握することに先人たちは工夫し、努力してきたが、今日のように真偽入り乱れた世界では、その困難さはなおさらである

▼米大統領選では、「ローマ法王がトランプを支持した」というフェイクニュース(うそのニュース)がネットで拡散、社会問題になった。また、英国のEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票では、英国のEUへの負担額についてうその情報が流れ、投票行動に大きな影響を与えた

▼真実は必ず存在する。困難でも、それを正しく把握することが、民主主義社会を支える基礎となる。(空)

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