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美ぎスマ
2019年6月29日(土)8:54

【美ぎスマ】高級ホテルがオープン/城辺地区長北集落

職員7人は長北に住む/集落活動参加に意欲


長北の「the rescape」で働く職員たち

長北の「the rescape」で働く職員たち

 城辺のクマザ海岸に高級な戸建て(38棟、41室)のリゾートホテルがオープンした。名称は隠れ家を意味する「the rescape(ざ りすけーぷ)」宮古島。名称には「原生林の緑と白い砂浜、青い海に囲まれた隠れ家(ホテル)に住んで、本来の自分を取り戻せるように」と思いを込めた。

 クマザ海岸でのホテル建設は2012年末ごろ始まったが、東日本大震災の影響などがあり長い間中断。2017年日建ハウジング(那覇市、新井正樹社長)が引き継ぎゴールデンウイーク期間中の5月6日、着手から6年経ってオープンとなった。運営は沖縄UDS(岡﨑勝彦社長)が担う。

 職員は約40人で、ベトナム出身の6人と本土出身1人の計7人は長北に住む。自治会長の浦崎盛男さんは「ホテルのオープンは長北の人口増加につながった。これから集落の行事や活動への参加を呼びかけたい」と話した。浦崎会長は日建ハウジングの新井社長から多額の寄付があり、これを敬老会などに役立てたことも話し、感謝した。

 外国から就職した若者はベトナムの6人のほかにイギリス1人、フランス1人、スリランカ1人の計9人と国際色豊かなスタッフとなった。

 ファン・チャンさん(ベトナム、21)は、母国で日本語を学び「りすけーぷ」に就職した。「長北の皆さんとの交流が楽しみ。機会があれば集落の清掃にも参加したい」と、これからの生活に心も弾む様子。チャンさんらは長北の民家に住み、寝室は個室。食事は郷土料理を共同で作り、一緒に食べるという。

 「りすけーぷ」はオープンから1カ月半経った。アンケートでは「海外のホテルに来ているようだ」と、自生のアダンやバショウ、白い砂浜など南国色の強いロケーションが好評だった。野鳥や昆虫、ヤドカリなども見られ、動物好きな人にも喜ばれた。宮古の食材を利用した料理は、宮古ならではの旅の魅力をつくりだしている。

長北の沿革

 郷土史家・慶世村恒任は同氏の著書「宮古史伝」で「与那覇原軍の一少年、真佐久(後の与那覇勢頭豊見親)は目黒盛との戦い(1365年)に敗れた後、北に逃げて今の与那覇間(ゆなぱま=長北の一部地域)に住んでいた」と述べている。真佐久は1390年に船を繰り出して沖縄本島の中山王朝を訪ね宮古の首長を任された人物。この話は長北が由緒ある歴史を持つ古い集落であることを物語っている。ただ、下地和宏宮古郷土史研究会長は、真佐久の与那覇原軍落人説については「航海技術など高い技術を持つ渡来人だった可能性がある」と述べ、同説を疑問視する。
 長北は長間字(古くは長間村)の三つの兄弟集落(長北、長中、長南)の一つ。長間村は人頭税制のころの1725年に大神島から72人が移住して創建された。移住地(始まりの地)は、伝説では山川とされるが定かではない。歴史資料を基に、「長間の始まりは屋敷原付近」とする郷土史家もいる。1814年には風土病が流行ったことなどもあって、村を喜屋慶に移した。長北は1927(昭和2)年、長間集落から分区した。
 産業は農業が中心。ほとんどの畑でサトウキビが栽培されている。3月末現在の人口は187人(男性99人、女性88人)、世帯数は101戸。

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