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インサイドリポート
2011年6月9日(木)23:11

学校規模適正化問題

小学校の取り扱いで衝突/検討委と市教委


 学校規模適正化問題で市教育委員会(宮国博委員長)が先月30日に同適正化検討委員会(委員長・川上哲也教育長)の答申内容を一部見直す形で方針を決定した。決定した方針は、検討委答申では事実上の先送りとなっていた「小学校の規模適正化」についても具体的な統合計画が示された中学校と同じように「同時並行で進める」との方針が示されたことから、検討委の委員からも不満の声が上がり、この問題については今後の動向が注目となっている。


 ■ 見直し
 小学校の規模適正化について、検討委答申では学校の存続を求める地域懇談会などの意見にも配慮して具体的なことは盛り込まれず、事実上の先送りとなっていた。
 小学校については、検討委内部でも「存続」の声が強く、本来の協議目的である「規模適正化」「複式学級の解消」の議論は棚上げにされ「小学校は存続すべき」が前提となった議論が中心となり、目の前の課題にどう対応するかの議論がなかなか進展しなかった。
 先送りの答申を受けた市教育委員会では、中学校よりも複式学級を多く抱える小学校の規模適正化に向けた取り組みが先送りになることを問題視。その部分を見直し「中学校と並行して、進めることを基本とする」との方針を打ち出した。

 ■ 検討委
 規模適正化の議論はどうしても「統合」の文字がちらつきながらの議論になり、その目的(複式学級の解消と規模適正化)を見失いがちになっていた。
 検討委の中でも「小学校については残してほしい」との声が強い中で、適正化の議論そのものが統合に向けた動きと位置づけられてしまっていた。
 そもそも協議すべきは子どもたちのより良い教育環境を構築するための「学校の規模適正化」であり、学校の「存続」や「統合」ではない。
 統合ありきの協議ではなく、学校存続も視野に入れ、それぞれの学校の適正規模を確保するためには何が必要かなど、課題を抱える小学校の在り方についての議論がもっと行われるべきだったが、小学校については「統合」へとつながる議論と位置づけられてしまった。
 結局、検討委として小学校においては複式学級は解消すべき課題なのかそうではないのかの認識も示されないまま、あいまいな答申となってしまった。

 ■ 市教委
 検討委員会は、教育委員会を代表して川上教育長、同委員会事務局、学校関係者、PTA、地域代表らで構成されて規模適正化の協議を行ってきた。その答申は、重みがあり尊重されるべき。
 答申内容について異論があり、違った方針を検討しているのであれば検討委との事前の協議なり、状況説明を行い理解を得る努力をすべきだった。
 今回のような一方的とも取れる方針の打ち出し方では、市教委からこの問題を諮問された検討委の立場もなくなり、存在意義も失われてしまう。
 小学校の規模適正化について事実上の「先送り」の判断となった検討委の答申に対する異論があることは理解できるが、後々遺恨を残しそうなやり方で検討委の判断とは違う方針を打ち出した市教委のやり方も今後を考えるとベストの選択とは言い難い。
 小学校の規模適正化に向けた今後の協議については、具体的な学校の統合案などの検討や地域への説明会なども市教委が中心となって実施していくとしている。
 しかし、今回のような方針の打ち出し方が前例にある以上、学校存続を求める声の強い地域での説明会は混乱が予想される。

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